衆院予算委 集中審議 首相“説明責任果たすよう促している”

国会は、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、衆議院予算委員会で集中審議が行われました。野党側が政治倫理審査会に関係議員を出席させるよう求めたのに対し、岸田総理大臣はさまざまな機会を通じて説明責任を果たすよう促していると説明しました。

自民 上野賢一郎氏 「連座制」導入めぐり

自民党の上野賢一郎氏は、悪質な会計処理があった場合に会計責任者だけでなく議員本人も責任を負う「連座制」の導入をめぐり、「職を失うかもしれないという強いプレッシャーを政治家にかけなければ、問題は一向に解決されないおそれがある。派閥や国会議員の関係政治団体などは、国会議員みずからが責任を取るという大きな方針を掲げるべきだ」と指摘しました。

これに対し岸田総理大臣は、「仮に公職選挙法でいう『連座制』と同様の制度とする場合、法律違反に直接関わっていなくても失職するなどの制裁を科す理由について政治資金規正法でどう定義するかや、おとりなどによる制度の悪用防止といった点についての議論が必要だ」と述べました。

公明 国重徹氏 政治資金規正法の改正めぐり

公明党の国重徹氏は、政治資金規正法の改正をめぐり、「今の国会で法改正を実現するといっても、幅広い議論が必要で時間はない。制度改革の具体案を明確に示し、与野党協議の場を設置するよう、党内に強く指示してほしい」と求めました。

これに対し岸田総理大臣は、「党で法整備のあり方に関するワーキングチームを立ち上げ議論を進めている。与野党の議論の場の進め方などは国会で決めてもらうことだが、今の国会での法改正を目指し、党の考え方を可能なかぎり早急に取りまとめたい」と述べました。

立民 本庄知史氏 政治倫理審査会への議員出席について

立憲民主党の本庄知史氏は、政治倫理審査会に安倍派と二階派の幹部らを出席させるよう求めたうえで、「説明責任を果たすよう『促していく』というこれまでの岸田総理大臣の答弁を聞いて、腰が抜けた。事態の深刻さを理解しているのか。『促す』ではなく『出席すべきだ』と、関係者にきちんと指示すべきだ」と迫りました。

これに対し岸田総理大臣は「ことばが弱いという指摘だが、『促す』というのは、しっかり説明するよう党としても私としても本人にしっかりと伝えているということだ。さまざまな機会を通じて全体として説明責任を果たしてもらわなければならない」と述べました。

また、政治倫理審査会への出席を拒む議員を処分の対象とするか問われたのに対し、岸田総理大臣は「さまざまな手法を通じて全体としてどれだけ説明責任を果たしたかは大変重要なポイントになる。そうした説明責任のありようも踏まえ、政治責任について対応を考える」と述べました。

維新 岩谷良平氏 衆議院の解散について

日本維新の会の岩谷良平氏は、「自民党の政治とカネの問題で政治が停滞し、行政が停滞し、政策が前に進まない。局面を打開し政策を前に進めるため、衆議院を解散して国民に信を問うべきではないか」と質問しました。

これに対し岸田総理大臣は「能登半島地震への対応やデフレからの脱却、厳しい国際情勢など、国の内外に先送りできないさまざまな課題が山積している。政治の信頼回復とともに目の前の課題に専念する。その先については何も考えていない」と述べました。

共産 塩川氏 安倍派議員の収支報告書不記載めぐり

共産党の塩川鉄也氏は、安倍派の議員による収支報告書への不記載をめぐり、「誰がいつからどのように『裏金』の仕組みをつくり、継続してきたのか。収支報告書に記載しないよう所属議員と事務所に指導していたというが、誰がその違法行為を指示していたのか。安倍派幹部らの関与はどうか」と追及しました。

これに対し岸田総理大臣は「聴き取り調査の過程で、安倍派=『清和政策研究会』で事務方を通じて指摘のような指示があったと、一部の議員側から報告された。それ以上の内容は、聴き取りのとりまとめ結果を踏まえた上で答えたい」と述べました。

国民 古川国対委員長 岸田首相の責任について

国民民主党の古川国会対策委員長は、「民間企業でこれほどの不祥事があれば、トップは責任を取るのが普通だ。自民党総裁である岸田総理大臣もいずれかの時点で責任を取る覚悟があるか」とただしました。

これに対し岸田総理大臣は「派閥に対するガバナンスを強化し、党の中間とりまとめに盛り込んだ再発防止策を実行する。実態把握と説明責任、政治責任を具体的な形で実行することで、党のトップとしての責任を果たしたい」と述べました。

森 元首相への聴き取りについて

また岸田総理大臣は、今の安倍派=「清和政策研究会」の会長をかつて務めた森 元総理大臣に聴き取りを行うよう求められたのに対し、「森 元総理大臣の関与などについても関係議員への聴き取りの中で経緯やお金の使途などを確認することを考えており、その内容を踏まえたうえで、必要ならさらなる調査など、党として適切な対応を検討する」と述べました。

“納税者の納得”について

2月16日から始まる所得税などの確定申告に納税者の納得が得られるかと問われ、岸田総理大臣は「社会を維持するためのコストをみんなで支え合う納税に理解を得られるよう、政治のあり方についてみずから厳しく律し、国民に協力をお願いしていかなければならない」と述べました。

旧統一教会 報道について

一方、岸田総理大臣は、2016年に旧統一教会の関連団体の冊子を手にした写真などが「デイリー新潮」で報じられたことについて、「名刺交換やあいさつは毎年、何千、何百と行っており、自分たちの機関誌を持って写真を撮ってもらいたいという依頼も数限りなく受けている。旧統一教会や関連団体と私が関係があったという指摘はあたらない」と述べました。

衆院政倫審 16日に幹事懇談会

衆議院政治倫理審査会は、立憲民主党など野党側が審査会に自民党の安倍派と二階派の幹部らを出席させるよう求めていることを受けて、16日に幹事懇談会を開くことになりました。

審査会を開催するかどうかや、開催する場合、誰に出席を求めるかなどをめぐり、意見が交わされる見通しです。