能登半島地震 比較的古い木造建物で甚大な被害 国交省現地調査

1月の能登半島地震の建物被害について、国土交通省などが石川県輪島市や珠洲市などで行った現地調査結果を公表し、比較的古い木造の建物で甚大な被害が見られた一方、建築年代の新しい建物は被害がないか軽い傾向がみられたとしています。今後、専門家などによる委員会で原因の分析を進めることにしています。

1月1日の能登半島地震を受けて、国土交通省の国土技術政策総合研究所と建築研究所は、1月6日から10日にかけて建築物の被害について現地調査を行い、14日、結果をとりまとめました。

それによりますと、輪島市や珠洲市、穴水町などでは特に木造の古い建物で倒壊や大規模な損傷がみられました。

このうち、輪島市河井町では隣接する建物との距離が狭く大規模な火災につながったとみられますが、調査では、地震で倒壊するなどしたことで建物の骨組みがあらわになったことも延焼の原因と考えられると指摘しています。

また、輪島市門前町では店舗を兼ねた住宅が多く、道路に面した壁が少なく、1階が潰れる「層崩壊」が多くみられました。

このほか珠洲市や穴水町では、去年5月や2007年の地震で震度6強の揺れを観測していますが、当時被害がなかった建物でも倒壊や大規模な損傷が確認されました。

被害がなかったり軽微だったりする建物は、2007年の地震以降に建てられるなど、建築年数が浅いものが多い一方、年数が古い建物の中にも被害がないケースが見られたということです。

さらに、輪島市河井町で倒壊した地上7階建てのビルについては、東側の一部が地中に3.5メートルほど沈んでいることが分かりました。基礎の破壊や地盤の沈下が倒壊の要因となった可能性があるとして、詳細な分析が必要だとしています。

国土交通省は14日、建築の専門家などによる委員会を立ち上げ、調査結果をもとに被害の原因分析を進めることにしています。