復旧見通し立たない地域も 石川 3万戸断水続く それぞれの事情

石川県内の断水は、14日時点でおよそ3万戸余りとなっていて、輪島市と珠洲市ではいまもほぼ全域で続いています。
被害を受けた水道施設の修復に関わる人たちは「復旧の見通しを軽々しく言えない状況だ」としています。

珠洲 浄水場ほぼ修復も…「復旧見通し言えない状況」

珠洲市によりますと、今回の地震で市内の川から水をくみ上げる取水場や、浄水場、それに浄化した水をためておく配水池などの多くが壊れたということです。

市の職員に加えて全国の自治体から派遣されている数十人の職員が修復作業にあたっていて、市内のおよそ9割の世帯に水を供給する宝立浄水場がほぼ修復されたほか、配水池に水を送る仮設の配水管の設置が進められています。

市はこの配水管の設置の終了を今月下旬と見込んでいます。そのうえで、病院や避難所、そして家庭に水を送る配水管に実際に水を通して壊れている所がないかを確認することにしています。

しかし、家庭につながる配水管の被害状況が分かっておらず、漏水が起きないためには事前に水道の元栓を閉める必要もあります。一部の地域での仮復旧を4月以降になると見込んでいますが、倒壊した建物や避難している人が多い場所ではどのように対応していくかが課題となっています。

修復作業にあたっている名古屋市上下水道局の坪井康夫さんは「市内の水道の心臓部分が地震ですべて壊れている。水を通さないと被害の状況も分からないところがあり、復旧の見通しを軽々しく言えない状況だ。1日も早く水を届けられるよう頑張りたい」と話していました。

輪島 住民が施設を管理 “損傷か所の確認は不可能”

そして、ほぼ全域で断水が続く石川県輪島市。
管理する水道施設以外に住民みずからが管理する施設が47か所あり、市によりますと人口の4%にあたるおよそ1000人が利用しているということです。
このうち、繩又町のおよそ10世帯は山の湧き水などの水源から取った水をため、浄水して生活用水として使っていましたが、地震直後から断水が続いています。
この地域で35年余り暮らす川端治男さん(56)によりますと、水源から各家庭に水を送る水道管の総延長は10キロ以上で、地域住民のほとんどが別の場所に避難するなか1人で地中に埋まっている水道管を掘り起こして壊れているか所を確認するのは不可能だといいます。

“復旧めどたたなければ住民戻ってこない”

川端さんは、水道の復旧のめどが立たなければほかの住民が戻ってこなくなると懸念していて「洗濯ができず風呂に入れない状態が続き先が見えません。何かあれば自分たちで対応しなければいけませんが市が少しでも手助けしてくれたらありがたいです」と話していました。

輪島市には施設を管理する住民が事業者に依頼して水道の復旧を行った場合、費用の8割を補助する制度がありますが、依頼や調整などは管理者の住民側が行うことになっています。
これについて川端さんは「ほかの住民と連絡が取れず費用の総額が見通せない状況で事業者に依頼するのは難しい」と話していました。

石川県 “1日も早い復旧を目指す”

石川県は能登地方の多くの地域で今月末から来月末までの仮復旧を見込んでいますが、珠洲市や七尾市の一部の地域では仮復旧は4月以降になる見込みだとしています。

県は能登地方では被災した浄水場の機能回復をおおむね終え、漏水調査や修繕の作業に入っているとしていて、1日も早い復旧を目指すことにしています。