衆院予算委 政治資金問題 首相“説明責任十分果たすよう促す”

国会は自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、衆議院予算委員会で集中審議が行われました。立憲民主党が自民党のアンケート調査は不十分だとして、政治倫理審査会を開いて関係議員を出席させるよう求めたのに対し、岸田総理大臣は関係議員がさまざまな手段で十分な説明責任を果たすよう、党として促していく考えを強調しました。

自民党の小倉 前こども政策担当大臣は会計責任者が逮捕・起訴された場合は、党が議員を処分できることを盛り込んだ党則の改正などをめぐり、「党則や組織統治の指針にあたる『ガバナンス・コード』をきちんと改正し、党として決して後戻りしない姿勢を示すことが重要だ」と指摘しました。

これに対し、岸田総理大臣は「党の中間とりまとめでは再発防止のための取り組みを党則などで具体的にルール化する方針を明記している。党のワーキングチームもスタートしており、来月の党大会で、党則などを改正すべく議論を加速させたい」と述べました。

立憲民主党の山井和則氏は「自民党のアンケート調査では『裏金』の実態は全く分からない。安倍派幹部や二階元幹事長を政治倫理審査会に出席させ、説明させるべきだ。野党は共同で申し入れをしており、決断していないのは自民党だ。止めているのは党総裁である岸田総理だ」と迫りました。

これに対し、岸田総理大臣は「党として説明責任を果たすことが大事で、それぞれの関係者に働きかけている。ただ、具体的な国会での議論のあり方は国会の判断を仰がなければならない。さまざまな手段を通じて十分な説明責任を果たしてもらえるよう党として促していく」と述べました。

また、岸田総理大臣は派閥を含む政治団体に対する外部監査の必要性について、「外部監査を各政治団体の共通のルールとして法定化することは国民の信頼性を高める観点から意味がある。党としてもしっかり、考え方をまとめ、各党とも真摯に協議を行いたい」と述べました。

「政治倫理審査会」めぐり各党から発言相次ぐ

自民党の御法川国会対策委員長代理は記者団に対し、「野党側からの要請もあり、しっかり対応しなければならないと思っているので、そう遠からず結論を出したい」と述べました。

立憲民主党の安住国会対策委員長は記者団に対し、「岸田総理大臣がリーダーシップを発揮して関係者を出席させるのか、あくまで自分の希望を言っているだけなのか、もう少し様子を見たい。岸田総理大臣の発言の信ぴょう性について、われわれは非常に疑問に思っているので、そろそろリーダーシップを示してほしい」と述べました。

また日本維新の会の藤田幹事長は記者会見で「自民党は説明責任について完全になめている。ことの本質は、誰にいくら不記載があったのかではなく、組織的、意図的に違法行為が継続的に行われてきたことの実態解明だ。説明の場として政治倫理審査会がいいのではないかと言っており、逃げずにやってもらいたい」と述べました。その上で「政治倫理審査会が開かれなければ、新年度予算案の審議に応じない可能性がありうるということは役員会でも心あわせをした。われわれは『くだらない日程闘争はしない』と言ってきたが、今回は、自民党がうみを出しきらないことには、前に進めないという覚悟もある」と述べました。

日本維新の会の遠藤国会対策委員長は記者団に対し、「国民に大きな疑念を持たれている以上、岸田総理大臣が当事者に出席を促すのは当たり前で、その要請を拒むなら、組織として体をなしていない。岸田総理大臣にはより強いリーダーシップを持ってもらい、当事者には政治不信を招いた責任を自覚してほしい」と述べました。その上で、「自民党が何もしない状況で、今までどおり新年度予算案の審議をするのは厳しい。われわれも腹をくくって対応する」と述べました。

公明党の高木政務調査会長は記者会見で「疑惑を持たれた政治家はみずから説明を尽くすべきだ。国会には政治倫理審査会があり、一時は自民党の浜田国会対策委員長も開くべきだという旨の発言をしていた。自民党がどう対応するか見守っているが、説明を尽くしていただきたい」と述べました。

共産党の田村委員長は記者会見で「自民党に真相を究明して説明する意思があるならば、みずから『政治倫理審査会を開かせてくれ』と申し出るべきではないか。岸田総理大臣の『国会で判断すること』という答弁は、あまりに無責任だ。新年度予算案の審議も十分やらなければならないが、その前提とも言える、政治に信頼が置けるのかという問題になっている。何としても真相究明へ努力していきたい」と述べました。

国民民主党の古川国会対策委員長は記者会見で「問題の深刻さを考えると、関係した議員が政治倫理審査会できちんと説明責任を果たすことは最低限、必要だ。最低限のこともできないのであれば、参考人招致や証人喚問を求めることもやむを得ない。一切ゼロ回答であれば、いろいろなことを考えなければならない」と述べました。