インドネシア大統領選 開票続く プラボウォ氏 勝利に自信示す

有権者が2億人を超え、「世界最大の直接選挙」とも言われるインドネシアの大統領選挙は、開票作業が続いていますが、複数の民間の調査機関や地元メディアはジョコ大統領の後継を自任するプラボウォ氏が大幅にリードしていると伝えています。

インドネシアが「グローバルサウス」の一角として国際社会で存在感を高める中、10年ぶりに交代する次の大統領を選ぶ有権者の判断が注目されます。

プラボウォ国防相 勝利に自信を示す

ジョコ大統領の後継を自任して立候補したプラボウォ国防相は、首都ジャカルタで開かれた集会で支持者を前に「すべての調査機関の速報値は1回目の投票での私の勝利を示している。これはすべてのインドネシア人にとっての勝利に違いない」と述べて、当選に必要な過半数の票を集めて勝利することに自信を示しました。

その上で、プラボウォ氏は「選挙管理委員会による結果の発表を待たなければならない」と呼びかけました。

インドネシアの大統領選挙は、全国82万か所余りの投票所で投票が締め切られ、開票作業が続いています。

大統領選挙には、プラボウォ国防相、アニス前ジャカルタ州知事、ガンジャル前中部ジャワ州知事の3人が立候補しています。

選挙戦では、高い支持率を誇るジョコ政権の政策の継続か改革かが主な争点となり、複数の民間の調査機関や地元メディアは、一部の開票所を抽出して行った集計結果をもとに、ジョコ大統領の後継を自任するプラボウォ氏が大幅にリードしていると伝えています。

ただ、どの候補者も過半数の得票に満たない場合は、ことし6月に上位2人による決選投票が行われる予定で、プラボウォ氏の得票が1回目の投票で過半数に届くのかどうかが焦点となっています。

インドネシアは、グローバルサウスの一角を占める東南アジア最大の経済大国として国際社会で存在感を高めていて、10年ぶりに交代する次の大統領を選ぶ有権者の判断が注目されます。

各候補はSNSを駆使 若い世代の支持獲得目指す戦略

インドネシアの大統領選挙は2億人を超える有権者の半数以上が40歳以下で、各候補はSNSを駆使し、若い世代の支持獲得を目指す戦略を展開しました。

投票所で選挙に関する情報の入手先について聞くと、25歳の男性は、「ほとんどソーシャルメディアから情報を得ました。TikTokやYouTube、それにインスタグラムの中に多くの選挙運動があります。街頭の選挙運動には参加しませんでした」と話していました。

候補者のうち国防相のプラボウォ氏の陣営は、軍の元最高幹部というイメージを覆すようなコミカルに踊る動画をインスタグラムに投稿し、「かわいい」というコメントとともに拡散されました。

また、アニス候補は動画共有アプリTikTokでライブ配信を行い、有権者からの公約などに関する質問に直接答えて交流をはかりました。

そしてガンジャル候補も、選挙運動で地方を訪れた際に地元の人たちの家に宿泊する様子をインスタグラムに投稿し、その暮らしぶりを理解しようとする姿勢を発信しました。

バレンタインデーにちなんだ投票所も

インドネシアのバリ島では、より多くの有権者に投票に来てもらおうと、2月14日のバレンタインデーにちなんだ投票所が設置されました。

投票所はピンク色の風船やハート型の飾りで彩られ、投票を済ませた有権者には、ピンクの伝統衣装を着たスタッフからチョコレートやキャンディーがプレゼントされていました。

初めて投票に訪れたという女性は「この投票所はとてもユニークなので私も居心地がよく、幸せな気持ちです。バレンタインデーを祝いながら投票できるので投票が楽しくなります」と話していました。

首都ジャカルタの有権者は

首都ジャカルタの投票所を訪れた25歳の事務職の男性は「プラボウォ氏はジョコ大統領の後継者なので、インドネシアの発展のためにプラボウォ氏を支持します。彼ならばわれわれの未来を切り開ける」と話し、現職のジョコ大統領の政策の継続をプラボウォ氏に期待していました。

一方、57歳の無職の男性は「ジョコ大統領の政策は道路などのインフラ開発ばかりで、庶民の人々の生活には目が向いていない。次の大統領には食料価格の高騰をおさえてほしい。コメさえも高くて買えない」と話し、経済政策などの改革を望んでいました。