イスラム組織ハマスへの軍事作戦を続けるイスラエル軍は13日、南部ハンユニスでハマスの戦闘員30人以上を殺害したなどと発表しました。
イスラエル軍はハマスの最後の拠点があるとして、ガザ地区で最も南にあるラファへの地上作戦を行う構えですが、ラファには100万人以上が身を寄せていて、地上作戦に対する国際社会からの懸念が高まっています。
こうした中、イスラエル軍はラファへの空爆などを続け、中東の衛星テレビ局アルジャジーラは13日、ラファでイスラエル軍による攻撃を受けた記者とカメラマンが大けがをしたと伝えています。
ガザ地区の保健当局は13日、ガザ地区全体で過去24時間に133人が死亡し、これまでの死者は2万8473人にのぼったとしています。
一方、戦闘の休止と人質の解放をめぐり、複数のイスラエルメディアは13日、イスラエルが仲介役のカタールなどとエジプトの首都カイロで6週間にわたって戦闘を休止する案について協議したと伝えています。
交渉をめぐっては、ハマス側が人質の解放にともなって4か月半にわたって戦闘を休止し、停戦を求める内容を提示していましたが、イスラエル側はこれを拒否する姿勢を示していました。
イスラエルがラファへの地上作戦を行う構えを見せるなか、エジプトでの協議で交渉の進展につながるかが焦点です。
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イスラエル軍 ラファへの空爆続ける一方で停戦協議の報道も
イスラエル軍はガザ地区で最も南にあるラファへの地上作戦を行う構えを示していて、13日も激しい空爆を続けています。
一方、戦闘の休止と人質の解放をめぐり、イスラエルは仲介役のカタールなどと協議したと伝えられていて、交渉の進展につながるかが焦点です。
WHO「医療システムは崩壊しつつある」
イスラエル軍がガザ地区で最も南にあるラファへの地上作戦を行う構えを見せる中、WHO=世界保健機関でこの地域を管轄する地域事務局長は12日、自身のSNSに病院に多くの人が集まる写真を投稿しました。
投稿では「ラファの病院は限界だ。患者の数は使用できる病床数を超えている。医療従事者は手いっぱいの中、耐え続けている」として、改めて停戦を訴えています。
また、WHOは13日、ガザ地区南部にある別の病院の様子もSNSに投稿しました。
この中で病院を訪れた国連の担当者は「医療システムは崩壊しつつある」として、体の75%にやけどを負っている7歳の女の子に与える痛みを和らげるための薬がないとか、ベッドや床を清潔に保つための基本的な物資すらないなどと厳しい状況を語り、物資の搬入の必要性を訴えました。
また、2万人以上がこの病院に身を寄せているとしていて、映像ではマットレスのないベッドに座る子どもの姿や、廊下やホールと見られる場所にマットレスや簡易ベッドを置いて寝たり座り込んだりする人の姿もあります。
さらに、「200人以上の患者が安全な場所へ行く当てがなく退院できない」としています。
ガザ地区の病院をめぐってWHOのテドロス事務局長は12日、地区に36ある病院のうち15か所が部分的に機能しているだけで、十分な医療物資が現地には届いていないという認識を示していて、医療状況は悪化しています。
ラファにいる医師「毎秒生き抜く苦しみ 早く終わることを願う」
国境なき医師団はイスラエル軍が激しい攻撃を続けるガザ地区の最も南のラファにいる医師の話をSNSに13日、投稿しました。
投稿によりますと、12日の午前5時、この医師と家族がいた場所のすぐ近くに攻撃があったということです。
医師は「爆撃を受けたり、今いる場所が壊されたりしたときに、私たちが誰であるかが分かるように、子どもたちや家族の手首と足に名前を書きました。けれどもこんなことは意味がないかもしれません」と、激しい攻撃にさらされる思いを伝えています。
そして、「私は生き延びましたが、心の中ではそうではありません。私たちは全員死ぬでしょう。毎秒生き抜くこの苦しみが早く終わることを願っています。毎夜、泣いています。日々、状況は厳しくなるばかりです」と窮状を訴えています。
イスラエル軍トップ「戦争の目的達成の道のりはまだ遠い」
イスラエル軍は軍のトップのハレビ参謀総長がガザ地区とイスラエルの境界付近を訪れたとして、13日、動画を公開しました。
この中で、ハレビ参謀総長は南部ハンユニスについて、「ハマス側が到達されるとは想像もしていなかった場所にわれわれは到達している。これまでに多数の指揮官を含む1万人以上のテロリストを排除した」などと強調しました。
その上で、「戦争の目的を達成するにはその道のりはまだ遠い。ハマスを攻撃し続けなければ、人質を取り返し、戦争を終わらせることは非常に困難になるだろう。私たちには計画がある。それを実行するのに適切な時期、方法を選択する」などとして、今後も軍事作戦を各地で続ける考えを示しました。