【詳細】ラファへ地上作戦の構え 現地は強い危機感(2月14日)

イスラエル軍がガザ地区の最も南のラファへの地上作戦を行う構えをみせるなか、現地で支援活動の調整にあたるユニセフ=国連児童基金の職員はNHKの取材に対し「地上作戦が行われれば、最も弱い立場にある子どもたちがさらに犠牲になる」と述べ、強い危機感を示しました。

※イスラエルやパレスチナに関する日本時間2月14日の動きを随時、更新してお伝えします。

ユニセフ調整官「子どもたちの犠牲さらに甚大に」

ユニセフ ヤング主任緊急支援調整官

ラファの現地で支援活動の調整にあたる、ユニセフ=国連児童基金のヤング主任緊急支援調整官が、NHKのオンラインインタビューに応じました。

ヤング調整官は「地上作戦が行われれば、最も弱い立場にある子どもたちの犠牲がさらに甚大なものになってしまう。すでに病院は負傷者や病人であふれていて、これ以上事態が悪化しても対応しきれない。子どもたちが負傷しても、救急車で搬送することも危険でできない状況だ」と述べ、強い危機感を示しました。

また、子どもたちがイスラエル軍の空爆などによって、いつもおびえたり、何も話さなくなったりするなど、トラウマの症状とみられる事例も多く報告されているということです。

パレスチナの保健当局によりますと、ガザ地区での死者は12日時点で2万8300人にのぼっていて、このうち1万2250人が子どもだということで、ヤング調整官は「攻撃が続くかぎり、ガザ地区の子どもたちにとって安全な場所はない」と述べて、一刻も早い停戦の実現が必要だと訴えました。

エジプト大統領 米CIA長官と会談

エジプト大統領府によりますと、シシ大統領は13日、アメリカのCIA=中央情報局のバーンズ長官と会談し、双方はイスラエルとハマスの間の停戦の実現や住民の保護、それに地域の安定に向けた協議や調整を続けることを確認したということです。

また、欧米の複数のメディアによりますと、バーンズ長官はイスラエルの情報機関、モサドのトップとも会談し、イスラエルとハマスの間の戦闘の休止や人質の解放に向けた交渉について意見を交わしたということです。

一方、アメリカの有力紙、ウォール・ストリート・ジャーナルは、関係者の話としてバーンズ長官の今回の訪問による「交渉での大きな進展はなかった」とした上で、戦闘休止の期間やイスラエルに収監されているパレスチナ人の釈放などをめぐり隔たりが埋められていないと伝えています。

南ア 国際司法裁判所に攻撃停止の暫定措置を命じるよう要請

ラファには100万人以上が避難していることから、地上作戦によってさらに多くの住民が犠牲になるおそれがあるとして、南アフリカは、国際司法裁判所に対して攻撃停止の暫定的な措置をイスラエルに命じるよう要請したと、13日に明らかにしました。

また、国連のグテーレス事務総長は13日に記者団に対して「ラファには人道支援システムの中核があり壊滅的な結果となる。ラファへの全面攻撃を阻止する必要がある」と述べるなど、国際社会の懸念が高まっています。

イスラエル軍 シンワル指導者の姿を捉えたとする映像を公開

イスラエル軍は、去年10月にガザ地区の地下トンネルを歩くイスラム組織ハマスのヤヒヤ・シンワル指導者の姿を捉えたとする映像を13日、公開しました。

イスラエル軍のハガリ報道官は記者会見で、この映像は去年10月10日、ガザ地区のハンユニスにある地下トンネルに設置された監視カメラのものだと主張しました。

映像には暗いトンネルの中をスカーフをかぶった人や子どもたちが進んでいき、最後に男性と見られる後ろ姿が映されています。

イスラエル軍はこの後ろ姿の人物がシンワル指導者だと主張したうえで、妻や子どもたちと逃げる姿を捉えたものだとしています。

さらに、イスラエル軍はシンワル指導者が家族らとともに最近まで隠れていた地下トンネルの内部とする映像をSNSで13日、公開しました。

映像にはトイレや洗面台がついた小部屋や皿や調味料が残された台所が映されています。

さらに、シンワル指導者が潜伏していたとする部屋を紹介し、金庫の中や外に大量の札束が残されていたほか、香水なども多く置かれていたとしています。

映像でイスラエル軍の兵士は「イスラエル軍が近づいていると知り、シンワル指導者らはすべてを置いて逃げ出した。地上では住民が貧しく飢えに苦しむ生活をしているなか、彼らはここでたくさんの金を手によい暮らしをしていた」と主張しています。

イスラエル軍トップ「戦争の目的達成の道のりはまだ遠い」

イスラエル軍は軍のトップのハレビ参謀総長がガザ地区とイスラエルの境界付近を訪れたとして13日、動画を公開しました。

この中で、ハレビ参謀総長は南部ハンユニスについて、「ハマス側が到達されるとは想像もしていなかった場所にわれわれは到達している。これまでに多数の指揮官を含む1万人以上のテロリストを排除した」などと強調しました。

その上で、「戦争の目的を達成するにはその道のりはまだ遠い。ハマスを攻撃し続けなければ、人質を取り返し、戦争を終わらせることは非常に困難になるだろう。私たちには計画がある。それを実行するのに適切な時期、方法を選択する」などとして、今後も軍事作戦を各地で続ける考えを示しました。

ラファにいる医師「毎秒生き抜く苦しみ 早く終わること願う」

国境なき医師団はイスラエル軍が激しい攻撃を続けるガザ地区の最も南のラファにいる医師の話をSNSに13日、投稿しました。

投稿によりますと、12日の午前5時、この医師と家族がいた場所のすぐ近くに攻撃があったということです。

医師は「爆撃を受けたり、今いる場所が壊されたりしたときに、私たちが誰であるかが分かるように、子どもたちや家族の手首と足に名前を書きました。けれどもこんなことは意味がないかもしれません」と、激しい攻撃にさらされる思いを伝えています。

そして、「私は生き延びましたが、心の中ではそうではありません。私たちは全員死ぬでしょう。毎秒生き抜くこの苦しみが早く終わることを願っています。毎夜泣いています。日々、状況は厳しくなるばかりです」と窮状を訴えています。

WHO「医療システムは崩壊しつつある」

イスラエル軍がガザ地区で最も南にあるラファへの地上作戦を行う構えを見せる中、WHO=世界保健機関でこの地域を管轄する地域事務局長は12日、自身のSNSに病院に多くの人が集まる写真を投稿しました。

投稿では「ラファの病院は限界だ。患者の数は使用できる病床数を超えている。医療従事者は手いっぱいの中、耐え続けている」として、改めて停戦を訴えています。

また、WHOは13日、ガザ地区南部にある別の病院の様子もSNSに投稿しました。

この中で病院を訪れた国連の担当者は「医療システムは崩壊しつつある」として、体の75%にやけどを負っている7歳の女の子に与える痛みを和らげるための薬がないとか、ベッドや床を清潔に保つための基本的な物資すらないなどと厳しい状況を語り、物資の搬入の必要性を訴えました。

また、2万人以上がこの病院に身を寄せているとしていて、映像ではマットレスのないベッドに座る子どもの姿や、廊下やホールと見られる場所にマットレスや簡易ベッドを置いて寝たり座り込んだりする人の姿もあります。

さらに、「200人以上の患者が安全な場所へ行く当てがなく退院できない」としています。

ガザ地区の病院をめぐってWHOのテドロス事務局長は12日、地区に36ある病院のうち15か所が部分的に機能しているだけで、十分な医療物資が現地には届いていないという認識を示していて、医療状況は悪化しています。

イスラエル エジプトで仲介役のカタールなどと停戦案を協議

戦闘の休止と人質の解放をめぐり、複数のイスラエルメディアは13日、イスラエルが仲介役のカタールなどと、エジプトの首都カイロで6週間にわたって戦闘を休止する案について協議したと伝えています。

交渉をめぐっては、ハマス側が人質の解放にともなって4か月半にわたって戦闘を休止し、停戦を求める内容を提示していましたが、イスラエル側はこれを拒否する姿勢を示していました。

イスラエルがラファへの地上作戦を行う構えを見せるなか、エジプトでの協議で交渉の進展につながるかが焦点です。

イスラエル軍 ラファへの地上作戦を行う構え 空爆など続ける

イスラム組織ハマスへの軍事作戦を続けるイスラエル軍は13日、南部ハンユニスでハマスの戦闘員30人以上を殺害したなどと発表しました。

イスラエル軍はハマスの最後の拠点があるとして、ガザ地区で最も南にあるラファへの地上作戦を行う構えですが、ラファには100万人以上が身を寄せていて、地上作戦に対する国際社会からの懸念が高まっています。

こうした中、イスラエル軍はラファへの空爆などを続け、中東の衛星テレビ局アルジャジーラは13日、ラファでイスラエル軍による攻撃を受けた記者とカメラマンが大けがをしたと伝えています。

ガザ地区の保健当局は13日、ガザ地区全体で過去24時間に133人が死亡し、これまでの死者は2万8473人にのぼったとしています。