英シンクタンク “ロシアとウクライナ こう着状態続く可能性”

イギリスのシンクタンクが世界の軍事情勢の分析を発表し、ロシアがウクライナ侵攻で3000両近い戦車を失い、旧式の戦車で戦力を補っていると指摘しました。

一方のウクライナも欧米の支援によって軍事力を維持し、こう着状態が続く可能性があるとしています。

イギリスのシンクタンクIISS=国際戦略研究所は13日、世界各国の軍事力や地域情勢を分析した年次報告書「ミリタリー・バランス」を発表しました。

この中で、今月でウクライナ侵攻から2年となるロシアについて、戦車を侵攻前に保有していたのとほぼ同じ2900両以上失ったものの、旧式の戦車を再活用し、今後3年ほどは戦力を維持できるとしています。

一方のウクライナも大きな損失を被りながら、欧米各国の支援や安価な無人艇の活用などで軍事力を維持し、戦闘はことしもこう着状態が続く可能性があるとしています。

また、報告書はイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘や、中国による台湾周辺での軍事活動などによっても世界の安全保障環境が悪化し、各国が防衛計画の見直しを迫られていると指摘しています。

こうした状況を背景に、去年の世界全体の防衛費は前の年より9%増えて過去最高の2兆2000億ドル、日本円でおよそ328兆円に上り、ことしはさらに増えるという見通しを示しました。

国別ではアメリカが9055億ドルと最も多く、次いで中国が2195億ドル、ロシアが1085億ドルで、日本は9番目に多い490億ドルでした。