【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(2月14日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる14日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ 黒海でロシア大型揚陸艦を撃沈と発表

ウクライナ国防省情報総局は14日、クリミアの沖合でロシア海軍黒海艦隊の大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」に対し、複数の無人艇を使った攻撃を行い、沈没させたと発表しました。

国防省情報総局が公開した無人艇から撮影されたとみられる映像には、海上の艦艇に向かって蛇行しながら接近する様子や、爆発が起きて煙が上がり、船体に穴が開いている様子がうつっています。

ウクライナ側はクリミアに拠点を置くロシア黒海艦隊への攻撃を続け、圧力を強めていて、去年12月、今回と同型の大型揚陸艦をミサイルで破壊したほか、ことし2月1日にはミサイル艇を無人艇の攻撃で撃沈したと発表しています。

一方、ロシア国防省は14日、「ウクライナによる飛行機型の無人機を使った攻撃を阻止した」と発表し、黒海上空で6機を迎撃したとしていますが、無人艇による攻撃について公式な声明は出していません。

プーチン大統領 “軍の活動についてうその情報拡散で資産没収”

ロシアのプーチン大統領は14日、ロシア軍の活動について、うその情報を拡散させたりロシアの安全を損なう活動を呼びかけたりする行為をした場合、資産を没収する法案に署名しました。

軍事侵攻の開始からまもなく2年となり、プーチン政権は情報統制を一段と強めています。

ロシア エストニア首相などバルト三国高官らを指名手配 ロ報道

タス通信などによりますと、13日、ロシア内務省が指名手配したのはエストニアのカラス首相や、ラトビアの法相、それにリトアニアの文化相を含むバルト三国の複数の政府高官や下院議員などです。

タス通信は捜査当局筋の話として、政府高官らは第2次世界大戦でナチス・ドイツと戦ったソビエト兵の記念碑を破壊したとして指名手配されたと伝えています。

これについてロシア大統領府のペスコフ報道官は「彼らは歴史の記憶に対してもわが国に対しても敵対的な行動をとっている」と述べました。

これに対し、エストニアのカラス首相は指名手配されたことについて、「驚くべきことではない。私が正しいことをしていることの証しだ。ウクライナに対し、強力な支援を続ける」と旧ツイッターのXに投稿しました。

バルト三国は旧ソビエトに併合された歴史から反ロシア感情が強く、ロシアによるウクライナへの侵攻が始まって以降、ソビエト兵をナチス・ドイツからの解放者としてたたえる記念碑を撤去する動きが相次ぎ、ロシアは「歴史のわい曲だ」として強く反発しています。

米議会上院 ウクライナ支援予算案可決も成立は不透明

アメリカ議会上院は13日、与野党協議のすえ、ウクライナやイスラエルへの支援を含む総額950億ドル余り、日本円にして14兆円以上に上る緊急予算案をまとめ、採決を行った結果、賛成70票、反対29票で可決しました。

ウクライナの最大の軍事支援国となってきたアメリカは、与野党の対立から支援のための予算が承認されずに去年暮れに枯渇し、新規の軍事支援が停止しています。

バイデン政権は議会に予算案を早急に可決するよう繰り返し要請してきました。

上院では野党・共和党が求めるメキシコとの国境管理の強化策を抱き合わせることで与野党がいったんは合意しましたが、トランプ前大統領が反対したことを受けて、共和党の議員も反対に回り、暗礁に乗り上げていました。

ただ、今回、上院で可決された予算案は、トランプ氏が不十分だと指摘している国境管理の強化策を切り離したもので、共和党が多数派の下院ではジョンソン議長がこの案に否定的な考えを示しており、予算案が成立するかは依然、不透明な状況です。

これに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領は13日、SNSに投稿し、「私たちだけでなく、ほかの多くの国々、特にヨーロッパが待ち望んでいた決定だ」として歓迎する考えを示しました。

そのうえで、「これは最初のステップであり、次は下院だ。私たちは前向きな決定を期待している」として、下院でも予算案が可決されることに期待を示しました。

日本政府 ウクライナ渡航制限緩和検討 復興支援に携わる企業限定

経済界の一部からは政府がウクライナ全土に「退避勧告」を出して日本からの渡航を制限していることに対し、「企業活動の障壁になっている」といった声が出ていて、日本政府は渡航制限を緩和できないか検討を進めています。

政府内ではロシアによる攻撃が続いているため、危険情報のレベルを引き下げることには否定的な意見が大勢で、「退避勧告」を維持したまま、復興支援に携わる企業関係者に限定するなど、例外的に緩和する案が出ています。

具体的には、企業側からの申請を受けて安全が確保できるかなどの審査を行った上で、一定期間の滞在を認めることが検討されています。

政府は現地の情勢やほかの国の事例も踏まえながら、慎重に判断することにしています。

東京で開催「日・ウクライナ経済復興推進会議」約50の組織参加へ

日本政府が今月19日に東京で開く「日・ウクライナ経済復興推進会議」には、ウクライナからシュミハリ首相をはじめとする政府や企業の関係者などが出席する予定です。

関係者によりますと、会議には建設やエネルギー、農業といった分野を中心に、ウクライナの企業や研究機関などおよそ50の組織からあわせて100人近くが参加する方向で調整が進められていて、日本側との間で合わせて40以上の協力文書が署名される見通しだということです。

また、両国の企業などが合意するのは、地雷対策とがれき処理、農業の発展や関連産業の高度化、それにデジタルやIT分野のビジネスの展開など、合わせて7つの分野にわたるということです。

ウクライナ側は日本側に対し、「民生部門の復旧や復興を主導してほしい」としていて、ロシアの軍事侵攻で破壊されたインフラの整備など幅広い分野で日本側との連携を図りたい考えです。