衆院政倫審 野党が開催申し入れ“安倍派 二階派幹部の出席を”

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、衆議院政治倫理審査会の野党側の委員らが、審査会の田中会長と面会し、安倍派や二階派の幹部らに出席を促し、開催するよう申し入れました。

衆議院政治倫理審査会の立憲民主党、日本維新の会、共産党の3党の幹事や委員は、13日午後、国会内で自民党の田中和徳 会長と面会しました。

この中で野党側の委員らは、今回の問題に対し、審査会としての役割を果たす必要があるとして、安倍派や二階派の幹部らに出席を促し、審査会を開催するよう申し入れました。

これに対し田中会長は「要請は重く受け止める。私自身、開催はやぶさかではないが、与野党でよく相談してほしい」と応じました。

面会のあと、野党側の筆頭幹事を務める立憲民主党の寺田学氏は記者団に対し「疑念を強く抱かれている自民党の議員は、ブログへの記述や記者会見で説明したと話しているが、国会への説明は一切なされていない。審査会の場で、疑念に対して説明するのが第一歩だ」と述べました。

自民党 森山総務会長「予算案の審議とは別」

自民党の森山総務会長は記者会見で「与野党の協議で必要となれば、対象議員の協力を得て行うことになるだろう。ただ、新年度予算案の審議とは別なので、震災や景気への対応が一番大変な時期に予算案の審議が進まないというのはありえないことだ」と述べました。

自民 松野前官房長官「出席依頼あれば 総合的に判断」

自民党安倍派の事務総長を務めた松野前官房長官は、記者団から、政治倫理審査会に出席する考えがあるか問われ「正式な依頼が私には来ていないので、依頼があれば、その理由や対象なども踏まえて総合的に判断したい」と述べました。

公明 山口代表「説明責任の果たし方 積極的に検討を」

公明党の山口代表は、記者団に対し「政治不信を回復する一つの取り組みとして、説明責任を尽くす努力を期待したい。国会の政治倫理審査会を活用するかどうかも含めて、説明責任の果たし方について、より積極的に検討してもらいたい」と述べました。

参院 国会対策委員長の会談で 野党側が出席求める

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、13日午後、自民党と立憲民主党の参議院国会対策委員長が会談しました。

この中で、立憲民主党の斎藤 参議院国会対策委員長は、野党4党で確認した内容として、参議院で新年度予算案の審議が始まるまでに、自民党の世耕 前参議院幹事長らを念頭に、関係議員が政治倫理審査会に出席して弁明するよう求めました。

これに対し、自民党の石井 参議院国会対策委員長は、持ち帰って検討する考えを示しました。

政治倫理審査会とは

政治倫理審査会は、議員が政治倫理に関する規範に著しく違反して、政治的、道義的に責任があるかどうかを審査し、勧告を行う機関で、衆議院と参議院にそれぞれ設けられています。

審査会の委員が審査の申し立てをするか、疑惑を受けた議員本人が審査を申し出ることで開かれます。

このうち、委員による申し立ては、衆議院では25人の委員のうち、9人以上からの申し立てが必要です。

現在、衆議院の審査会の委員構成は
◇自民党が15人
◇立憲民主党が5人
◇日本維新の会が2人
◇公明党が2人
◇共産党が1人となっていて
野党の委員だけでは申し立てを行うことができません。

申し立てがあっても、出席した委員の過半数の賛成による議決がないと審査に入ることはできません。

また、議決を受けても出席するかどうかは議員本人に委ねられており、出席が義務づけられる証人喚問とは異なります。

審査の結果、政治的、道義的に責任があると認めたときは、議員に対し、一定期間の登院自粛などが勧告できることになっていますが、過去に勧告を受けた議員はいません。

審査会の会長は、自民党安倍派の塩谷 元文部科学大臣が務めていましたが派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、今の国会から、自民党の田中 元復興大臣に交代しています。

これまでの政倫審 衆院で9回 参院は0回

政治倫理審査会は、これまで衆議院で9回開かれました。

このうち8回は議員本人からの申し出によるものです。

▽初めて開かれたのは1996年9月で、当時、自民党の幹事長を務めていた加藤紘一氏が鉄骨加工メーカーからみずからへの献金の疑惑について弁明を行いました。

このあと、
▽1998年6月に自民党の山崎拓氏
▽2001年2月に自民党の額賀福志郎氏
▽2002年7月に自民党の田中真紀子氏
▽2003年5月に保守新党の松浪健四郎氏
▽2004年5月に自民党の原田義昭氏
▽2004年11月に自民党の橋本龍太郎氏
▽2006年2月に自民党の伊藤公介氏が
それぞれ、政治とカネや学歴など、みずからに関する疑惑について弁明を行っています。

▽2009年7月には、自民党と公明党の委員の申し立てによって、当時民主党の代表を務めていた鳩山由紀夫氏の政治献金問題をめぐる審査を行うために開かれましたが、民主党の委員は抗議して欠席し、鳩山氏も出席しませんでした。

一方、参議院では政治倫理審査会はこれまでに1度も開かれていません。