名古屋市教育委の金品問題 事実関係を調査するよう指導 文科省

名古屋市教育委員会が教員などの団体から、毎年、校長に推薦する教員の名簿とともに金品を受け取っていた問題で、文部科学省は名古屋市教育委員会に対し事実関係を調査し、適切に対応するよう指導しました。

名古屋市教育委員会は11日に会見を開き、毎年人事の検討がされる夏ごろ、市立の小中学校の教員らで作る団体から、校長などに推薦する教員の名簿とともに、5000円から3万円の現金や商品券を受け取っていたことを明らかにしました。

これまでの聞き取りでは、慣習として20年以上続き、今年度、受け取った額は合わせて200万円を超えるという証言も出ているということです。

現時点では人事に影響があったとは考えていないとしていますが、名古屋市では第三者も含めた調査チームを設け、年度内に中間報告を取りまとめたいとしています。

これを受け、盛山文部科学大臣は13日の閣議後の会見で「教職員人事に関連して金品の授受が行われていたことが事実であれば、不適切と言わざるをえない。公教育に対する信頼を損なうことになりかねず、大変強く懸念している」と述べました。

そのうえで、文部科学省として12日、名古屋市教育委員会に対し事実関係を調査し、適切に対応するよう指導を行ったことを明らかにしました。

今後は、名古屋市の調査を注視し、状況などに応じて必要な指導を行っていくとしています。

名古屋市 市長も入った調査チーム設ける方向で調整

名古屋市は、事実関係を調べるため、弁護士などの第三者のほか、河村市長も入った調査チームを設ける方向で調整を進めています。

名古屋市教育委員会によりますと現時点で、金品を受け取っていたことが確認されているのは、教職員課の課長と人事担当の首席管理主事の2人です。

2人は、校長や教頭、それに、教務主任の推薦リストの提出と同じ時期に、無記名の封筒に入った現金や商品券を手渡しで受け取っていたということで教育委員会は、この問題が発覚した去年12月2人を人事の担当から外しました。

名古屋市内には、各区の校長会のほか、教員の出身校や担当教科ごとに複数の団体があり、今年度は86の団体から名簿の提出を受け、このうち少なくとも半数から金品を受け取っていたということです。

また、担当者は「出納簿」を作成し、受け取った現金を管理していて、今年度、受け取った額は合わせて200万円を超えるとみられています。

出納簿は人事異動のたびに後任に引き継がれていて、記録が残っている平成29年度から、毎年200万円前後を受け取っていたとみられるということです。

一方、名簿の多くは、勤務年数から、校長などに就くことのできる教員が全員記載されていたということで、教育委員会では「現時点で人事に影響はなかったと考えている」としています。

教育委員会では「早朝から夜遅くまで続く人事の検討業務の陣中見舞いとして受け取り、菓子や栄養ドリンクの購入費や内部の飲食費などに使っていた」と説明しています。

名古屋市は、事実関係を調べるため、弁護士などの第三者のほか、河村市長も入った調査チームを設ける方向で調整を進めています。

河村市長は、NHKの取材に対し「自分自身も関係者への聞き取りを始めているが、今後、弁護士などに加えて、みずからも入った調査チームを早急に立ち上げる」と述べました。

愛知 大村知事 他市町村も同様事案ないか確認へ

愛知県の大村知事は、記者会見で「衝撃、驚がくのことと受け止めている。公正さが求められる行政、教育の人事で、金品がやりとりされることはありえないことだ。名古屋市教育委員会の事実関係の把握と、その上でどのように対処するか対応を待ちたい」と述べました。

また、大村知事は、愛知県教育委員会について15年前までさかのぼって調べた結果、金品の授受はなかったとしたうえで「ほかの市町村の教育委員会についても、至急問い合わせをしたい」と述べ、同様の金品の授受などがなかったか、早急に確認する考えを示しました。