イスラエル ラファでの地上作戦行う姿勢強調 各国が懸念示す

イスラエルのネタニヤフ首相がガザ地区の南端にあるラファでの地上作戦を行う姿勢を強調しているのに対し、アメリカのバイデン大統領など各国政府は市民の犠牲がさらに増えることに懸念を示しています。

12日にラファでイスラエル軍による攻撃

ロイター通信は12日、ラファでイスラエル軍による攻撃があり、少なくとも37人が死亡したほか、多数のけが人が出ていると報じました。

イスラエル首相 攻撃を改めて正当化

イスラエルのネタニヤフ首相は、イスラム組織ハマスの重要拠点があるとして、ガザ地区の南端にあるラファへの集中的な攻撃の必要性を訴えていて、11日に放送されたアメリカのABCテレビでのインタビューで、「ラファに攻撃で入るべきではないという主張は、イスラエルに戦争に負けろといっているのに等しい」と述べて、ラファへの攻撃を改めて正当化しました。

ハマス幹部 人質解放交渉の余地なくなる けん制

一方、ハマスの幹部は地元メディアに対して、ラファへの攻撃が強まれば、人質解放に向けた一切の交渉の余地はなくなると話し、けん制しています。

バイデン大統領 ネタニヤフ首相と電話で会談

こうした中、アメリカのホワイトハウスは、バイデン大統領が11日、ネタニヤフ首相と電話で会談したと発表し、この中でバイデン大統領は「ラファに避難している100万人以上の市民の安全や支援を保証する実行可能な計画がないかぎり、ラファへの軍事作戦は行われるべきでないという考えを、改めて強調した」と明らかにしました。

フランス外務省が声明「攻撃は壊滅的な人道状況もたらす」

また、フランス外務省は11日、声明で「ラファへの大規模な攻撃は、新たな次元の壊滅的な人道状況をもたらす」として、イスラエル側に住民を保護する具体的な措置をとるよう強く求めました。

交渉仲介のエジプトもイスラエルへの圧力強化呼びかけ

さらに、交渉の仲介役を果たしているエジプトの外務省報道官も11日、声明で、「現在およそ140万人のパレスチナ人が身を寄せる地域が攻撃を受けないよう、国際社会の努力が不可欠だ」として、各国に対し、イスラエルへの圧力を強化するよう呼びかけました。

ガザ地区の保健当局によりますと、これまでに2万8176人が死亡していて、ラファへの攻撃が強まれば、市民の犠牲がさらに増えることが懸念されています。