ミャンマー軍 徴兵制実施を発表 兵員不足を補うねらいか

ミャンマーで3年前のクーデター以降実権を握る軍は、国民に兵役の義務を課す徴兵制を実施すると発表しました。少数民族の武装勢力などの大規模な攻勢にさらされる中、兵員不足を補うねらいがあるとみられます。

ミャンマー軍は10日、国営メディアを通じ、徴兵制の導入を決めた2010年の法律に基づき、徴兵を始めると発表しました。

それによりますと、対象は男性は18歳から35歳、女性は18歳から27歳で、兵役は原則2年以内としていますが、国の非常事態の場合は、最長5年まで延長できるとしています。

発表の中で軍は「すべての国民はミャンマーの独立した主権と領土の一体性を守る義務がある」として意義を強調しました。

ミャンマーでは3年前のクーデター以降、民主派勢力や少数民族の武装勢力との間で激しい戦闘が続いていますが、去年の秋以降、各地で大規模な攻勢にさらされ兵士の間に死者や投降者が相次いでいます。

軍が今回、徴兵制の実施に踏み切った背景には、戦況が劣勢となる中で深刻化する兵員不足を補うねらいがあるとみられます。

専門家 “国を出る若者が増え社会的混乱も”

ミャンマー情勢に詳しい京都大学東南アジア地域研究研究所の中西嘉宏准教授は、「ミャンマーでは各地で戦闘が起きていて、軍はいくつも前線を抱え兵士の数は足りていない。徴兵制を実施するとなると、体制づくりに時間がかかるだろうし、徴兵を逃れるために国を出る若者たちがさらに増え、社会的な混乱が起きることも予想される。すぐに軍の兵力不足が解消するとは思えず、下手をすれば実施に至らず、軍の窮状を内外に示すだけになるかもしれない」と話しています。