【詳細】ネタニヤフ首相「ラファへの攻撃を行う」

イスラエルのネタニヤフ首相は、アメリカのテレビ局のインタビューに対し「ラファへの攻撃を行う」と述べ、ガザ地区の最も南にあるラファで地上作戦を行う姿勢を改めて強調しました。100万人以上が密集しているとされるラファへの攻撃が強まればさらなる犠牲は避けられず、国際社会からの懸念の声が高まっています。


※イスラエルやパレスチナに関する日本時間2月11日の動きを、随時更新してお伝えします。

ネタニヤフ首相 地上作戦を行う姿勢を強調

イスラエル軍は、イスラム組織ハマスの重要拠点があるとして、ガザ地区の最も南にあるラファへの集中的な攻撃の必要性を訴えていて、ネタニヤフ首相も軍に対し、住民の避難とハマスの部隊の壊滅を両立させる計画を策定するよう命じています。

ネタニヤフ首相はアメリカのABCテレビのインタビューに応じ、11日その内容がウェブサイトに掲載されました。

このなかでネタニヤフ首相は「ハマスの最後のとりでとなるラファへの攻撃を行う。そうすべきではないという主張は、イスラエルに戦争に負けろと言っているに等しい」と述べ、ラファで地上作戦を行う姿勢を改めて強調しました。

そのうえで「民間人が退避できるよう安全な避難路を提供する」として、民間人の犠牲を減らすための措置を行うと主張しました。

パレスチナの地元メディアは11日、ラファ郊外でイスラエル軍による空爆があり、住民25人が死亡したと伝えていて、ガザ地区の保健当局はこれまでに2万8176人が死亡したと発表しています。

ガザ地区全土から大勢の住民が逃れているため、100万人以上が密集しているとされるラファへの攻撃が強まればさらなる犠牲は避けられず、国際社会からの懸念の声が高まっています。

ラファとは

ラファはガザ地区の最も南に位置し、エジプトとの境界にあります。ガザ地区全体の6分の1ほどの面積で、人口はもともと27万人あまりでしたが、イスラエル軍の攻撃を受けて北部や中部から大勢の住民が逃れてきたために、いまでは100万人以上が密集しているとされています。

AP通信が配信したラファの衛星写真では、戦闘開始直後の去年10月15日に空き地だったスペースが、ことし1月14日には避難所やテントとみられるもので埋め尽くされているのがわかります。

“助け求めた女の子 死亡確認” パレスチナ赤新月社

6歳の女の子、ヒンド・ラジャブちゃんは1月29日に、ガザ市内で親族と一緒に車で移動していた際にイスラエル軍の攻撃を受けたとみられています。

パレスチナ赤新月社が公開した電話の音声記録では、車の中で1人、生き残ったとみられるヒンドちゃんが「とても怖い。誰か来て、私を連れ出して」と必死に訴える様子が確認できます。

通話時間はおよそ3時間に及んだということですが、その後、連絡が途絶え安否がわからなくなりました。

ヒンドちゃんを救助するために現場に向かった救急隊員も連絡が取れなくなったということです。

パレスチナ赤新月社は10日、ヒンドちゃんや2人の救急隊員の死亡を確認したとSNSで明らかにしました。

投稿した映像からは救急車とみられる車が黒焦げになっているほか、近くにはヒンドちゃんが乗っていたとみられる黒い乗用車がめちゃめちゃに壊れ弾があたったような痕が確認できます。

パレスチナ赤新月社はイスラエル軍が救助に向かった救急車を意図的に攻撃したと強く非難しています。

AP通信 空爆で子ども含む44人死亡

AP通信は、9日夜から10日にかけての空爆で住宅が被害を受け、子どもを含む少なくとも44人が死亡したと伝えました。イスラエル軍は今後、ラファでの地上作戦に踏み切る構えを示しています。

カタール外務省「イスラエルの脅迫 最も強い言葉で非難」

イスラエルとハマスの間で仲介役を担うカタールの外務省が10日、声明で「ラファを襲撃するというイスラエルの脅迫を最も強い言葉で非難する」と批判しました。

ラファには、ガザ地区の北部から避難を余儀なくされた人々で極度に密集していて、欧米や中東諸国からは、地上作戦が多くの犠牲を招きかねないと強く警告する声が相次いでいます。

イスラエル軍 UNRWA本部の下にトンネルと発表

イスラエル軍は10日、ガザ地区で住民の支援にあたるUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関の本部の下にトンネルが見つかったと発表しました。

トンネルの長さは700メートル、深さは18メートルあり、UNRWA本部から電気が供給されていたと主張しています。

これに対しUNRWAのラザリーニ事務局長はSNSで、「去年10月に職員は本部から離れている。その後に本部で行われた可能性のあるいかなる活動についても承知していない」としています。

イスラエル軍 ラファへの攻撃を強める

イスラエル軍は、ガザ地区の最も南にあり100万人以上が避難しているラファへの攻撃を強めていて、10日にはラファへの空爆でイスラム組織ハマスの幹部を殺害したと発表したほか、中東の衛星テレビ局アルジャジーラはイスラエル軍の空爆などでラファで42人が死亡したと伝えました。

イスラエル軍はラファで空爆だけでなく地上作戦を行う構えを示していて、アメリカのCNNテレビなどは、ネタニヤフ首相が9日の閣議でイスラム教徒が日中の飲食を断つ断食月、ラマダンが始まる来月10日までに作戦を完了させなければならないと述べたと伝えています。

UNRWA事務局長「住民は避難するところがない」

ラファをめぐる状況について10日、NHKのオンラインインタビューに応じたUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関のラザリーニ事務局長は、「避難者が大勢いるラファへの攻撃はさらなる悲劇を重ねることにしかならない。ガザ地区の住民にはもうどこにも避難するところがない」と述べ強い懸念を示しました。