UNRWA事務局長「深刻に受け止め対応」ハマス攻撃関与の疑い

ガザ地区で住民の支援を担っているUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関のラザリーニ事務局長が10日、NHKのオンラインインタビューに応じ、一部の職員が去年10月のハマスの攻撃に関与した疑いが出ていることについて「組織として深刻に受け止め迅速な対応をとっている」と述べました。

UNRWAをめぐっては一部の職員がハマスによるイスラエルへの攻撃に関与した疑いを受けて、関与したとされる12人の職員のうち死亡した2人をのぞく10人がすでに解雇されています。

これについてラザリーニ事務局長は現在も独立した調査が行われているとしたうえで、「調査結果を待たずに職員を解雇するなど、組織として深刻に受け止めできる限り迅速な対応をとっている」と述べました。

疑惑を受けて日本を含む10か国以上が資金の拠出を一時的に停止していることについて事務局長は、「来月から資金不足となる可能性があり、そうなれば求められている支援に対応する能力に影響する。調査結果が速やかにまとまり、支援国による資金拠出が再開されることを切望している」と述べました。

また、ラザリーニ事務局長はイスラエル軍がガザ地区の最も南にあり、100万人が避難しているラファへの地上作戦を行う構えを見せていることについて、「避難者が大勢いるラファへの攻撃は、さらなる悲劇を重ねることにしかならない。ガザ地区の住民にはもうどこにも避難するところがない」と述べ、強い懸念を示しました。

そのうえで「食料不足に加え、病気になる人も多く極めて厳しい状況で住民が生活していることを懸念している。停戦が必要とされているのに、イスラエル軍の作戦拡大の話が出るのは残念なことだ」として一刻も早い停戦が必要だと訴えました。

イスラエル軍 “UNRWA本部の下にトンネル”と発表

一方、イスラエル軍は10日、ガザ地区で住民の支援にあたるUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関の本部の下に、トンネルが見つかったと発表しました。

それによりますと、トンネルの長さは700メートル、深さは18メートルあり、UNRWA本部から電気が供給されていたと主張しています。

これに対しUNRWAのラザリーニ事務局長はSNSで、「去年10月に職員は本部から離れている。その後に本部で行われた可能性のあるいかなる活動についても承知していない」としています。