【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(2月11日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる11日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

米紙 “欧米から新たな支援なければ3月までしかもたず”

ロシア軍の攻撃から市民などを守るウクライナの防空能力について、アメリカの有力紙は、欧米からの新たな支援がなければ3月までしかもたないとする見方を伝えるなどウクライナにとって厳しい状況が続いています。

ウクライナ軍は11日、キーウ州のほか、南部のミコライウ州などがロシア軍の無人機45機によって攻撃を受けたと発表しました。

このうち40機を迎撃したとしていますが、地元メディアは、南部のミコライウ州や東部ドニプロペトロウシク州で火災が起きたと伝え、けが人も出ているとしています。

ウクライナでは、今月9日から10日にかけても東部の都市ハルキウで無人機による攻撃で7人が死亡したほか、7日にも首都キーウなど各地に大規模な攻撃があり、被害が相次いでいます。

ウクライナの防空能力についてアメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズは9日、「たび重なる攻撃で確実に疲弊している」としたうえで、アメリカ政府関係者が、ミサイルの補給など欧米から新たな支援がなければ3月までしかもたないと見ていると伝えました。

さらに支援がなければウクライナは3月、局地的な反撃に苦戦し、初夏にはロシアの攻撃をはね返すことが困難になるおそれがあるとする当局者や専門家の分析を報じ、ウクライナにとって厳しい状況が続いています。

独紙 “ウクライナ敗戦の場合 1千万人の難民を想定”

ドイツの有力紙ウェルトの電子版は10日、仮にウクライナがロシアに敗戦した場合、ウクライナで新たに1千万人が難民となり、国外へ逃れるとドイツ政府が想定していると伝えました。

安全保障に詳しいドイツの関係者などの話として報じていて、難民の多くは、西ヨーロッパへ向かい、ドイツも目的地になる可能性があるとしています。

ウェルトは、ドイツ連邦議会の議員の話として「ウクライナ支援の戦略を変えなければ、ウクライナから大量の難民が流出し、NATOの国々に影響が拡大するという最悪のシナリオとなる可能性がある」としています。

そして、アメリカがウクライナへの支援を継続できるか不透明となる中で、ヨーロッパ各国が軍事支援を強化する重要性を指摘しています。

ハルキウに無人機攻撃で7人死亡

ウクライナ第2の都市、東部ハルキウでは9日から10日にかけてロシアの無人機による攻撃があり、石油貯蔵施設から漏れ出した燃料による火災のため、子ども3人と両親を含む7人が死亡しました。

警察が公開した映像では炎が上がる住宅に警察官が突入し、住民を救出する様子がうつっています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は10日、SNSへの投稿で亡くなった3人の子どもの名前を挙げて追悼し「テロを野放しにしてはならない。ロシアは奪ったすべての命の責任を負うべきだ」と非難しました。

マリウポリ おととし5月の侵攻で8000人以上死亡と推計

国際的な人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は8日、ロシアがおととし5月、激しい戦闘の末に掌握した東部ドネツク州の要衝マリウポリでロシアの侵攻により死亡した人は、推計で8000人以上にのぼるとする報告書を発表しました。

主要な墓地の衛星画像から分析したもので、実際の人数はさらに多い可能性もあるとしています。

マリウポリの人口は40万あまりで、ウクライナ側は侵攻で2万人以上が殺害されたとしていますが、街はロシアに占領され、現地での調査ができないため犠牲者の詳しい状況はわかっていません。

報告書について問われたロシア大統領府のペスコフ報道官は9日、「中身に目を通すまではどれほど信頼に足るのかわからない」と述べたうえで、「ウクライナ側は市民を人間の盾として利用し、背後から撃った」と主張しました。