バスケ女子 ハンガリーに敗れ1勝1敗に パリ五輪決定は持ち越し

バスケットボール女子のオリンピック世界最終予選の第2戦が行われ、日本はハンガリーに75対81で敗れ、オリンピックの出場権獲得は最終戦のカナダ戦に持ち越しとなりました。

ハンガリーで開かれているバスケットボール女子のオリンピック世界最終予選は、4チームが総当たりで対戦し、上位3チーム以内に入るとパリ大会の出場権を獲得できます。

スペインとの初戦に快勝した世界ランキング9位の日本は、勝てば3大会連続のオリンピック出場が決まる9日の第2戦で世界19位の地元ハンガリーと対戦しました。

試合は第1クオーター、高さのある相手に対して、堅いディフェンスで流れをつかみ高田真希選手の2本のスリーポイントシュートなどで22対13と9点リードを奪いました。

第2クオーターも序盤はキャプテンの林咲希選手が連続でスリーポイントを決め、一時リードを13点まで広げましたが、その後は相手の高さの前にリバウンドを奪われる場面が目立ち、32対32の同点に追いつかれて前半を終えました。

第3クオーターに入ると日本は相手のディフェンスに苦しんで、得意とするスリーポイントが打てず、攻撃でのミスも続いてハンガリーに逆転を許しました。

5点を追って迎えた第4クオーターでは林選手のスリーポイントや山本麻衣選手の連続得点などで何度も同点に追いつきましたが、勝負どころで相手のシュートを止められず75対81で敗れました。

この結果、最終予選の日本が入るグループは4チームが1勝1敗で並び、日本のオリンピック出場権獲得は11日に行われる世界5位のカナダとの最終戦に持ち越しとなりました。

日本はカナダに勝てば3大会連続のオリンピック出場が決まり、敗れた場合はスペインとハンガリーの試合の結果次第となります。

林咲希「やりたいことができていない雰囲気に」

キャプテンの林咲希選手は「自分たちの外のシュートが入らず、やりたいことができていない雰囲気になってしまった。速いバスケットボールを出せなかったところがよくなかった」と敗因を分析しました。そして次のカナダ戦に向けては「チームでコミュニケーションを取っていい試合をして、勝ってオリンピックの切符を持って帰りたい」と決意を話していました。

15得点の山本麻衣「絶対にオリンピックに行きたい」

チームトップに並ぶ15得点をマークし、第4クオーターだけで8得点を挙げた山本麻衣選手は「負けたくない気持ちがあったので、意地で自分が攻めようと思い、空いていたのでシュートを打った」と第4クオーターの活躍を振り返りました。オリンピックの出場権がかかるカナダ戦に向けては「日本のバスケットボールをして、絶対にオリンピックに行きたい」と前を向いていました。

恩塚ヘッドコーチ「下を向かずにもう一度仕切り直し」

バスケットボール女子日本代表の恩塚亨ヘッドコーチは「選手たちは頑張ってくれたが、自分が勝利に導けず反省している。研究されていた中でも、準備してきたものを終始出しきれなかったのが敗因だと思う」と振り返りました。

次のカナダ戦に向けては「下を向かずにもう一度仕切り直して、チーム一丸となって戦いたい」と話していました。

初戦で強豪スペイン相手に豊富な運動量で走り勝つバスケットボールを見せた日本。

2戦目のハンガリー戦でも、試合開始からその勢いを継続させて第1クオーターは厳しいプレスディフェンスを見せました。

このクオーターだけで、相手のボールを奪うスティールが4つ。ディフェンからの速攻や高田真希選手の2本のスリーポイントシュートなどで流れをつかみ、9点をリードしました。

第2クオーターの序盤までに最大13点にリードを広げ、この試合も日本がペースを握ったようにみえました。

ところが、試合のあと馬瓜エブリン選手が「最初の出だしはすごくよかったと思うが、終始相手の声援や高さにやられたところがあって足が止まった」と振り返るように、日本の持ち味のスピード感あるバスケットボールが徐々に展開できなくなります。

相手が地元の大声援を受けるアウェーの連戦で、平均身長が9センチ近く高い相手とコンタクトし続けることで特にインサイドの選手は体力を削られていきます。

日本は選手を頻繁に交代させることで、常にフレッシュな選手をコートに立たせる戦術で「走り勝つ」ことを目指してきましたが、頼みの足が止まってしまうと相手の高さを使った攻撃に追い上げられ、第2クオーターの終了時点で32対32の同点に追いつかれました。

ハンガリーは身長2メートル8センチのベルナデット・ハタール選手にボールを集め、徹底して高さを使ったオフェンスを続けました。すると日本はこれを止めることができず、ハタール選手に両チームトップの17得点を許し序盤につかんだ試合の流れを失いました。

さらに、相手の外からのシュートが入ったことも日本にとっては誤算でした。カナダとの初戦に成功数がわずか2本だったハンガリーのスリーポイントは、この試合は8本。スリーポイントを得意とする日本の9本とほとんど差が無く、成功率はハンガリーが上回りました。

センターとして体を張り続けた身長1メートル85センチの高田選手は「インサイドでやられ始め、相手のスリーポイントが入ったときに流れが止まってしまった。アグレッシブなディフェンスから相手のミスを誘って速攻に持っていくのが自分たちのオフェンスだが、相手のシュートが決まりだしてからなかなかリズムがつかめなかった」と振り返りました。

この試合のリバウンドの数はハンガリーの43に対し、日本は23。中でもオフェンスリバウンドを15奪われ、相手にセカンドチャンスを与えてしまいました。

宮崎早織選手

「速さ」で「高さ」に対抗するバスケットボールを掲げてきた日本が「高さ」に屈したハンガリーとの一戦。それでも、第4クオーターに宮崎早織選手や山本麻衣選手がスピードをいかしたドライブやスリーポイントシュートで得点を重ね、一時は同点に追いつく意地を見せました。

山本麻衣選手

次のカナダも平均身長で日本を8センチ上回る、高さのあるチームです。負ければオリンピックへの道が閉ざされる可能性もある大一番に自分たちのバスケットボールを取り戻すことができるのか、日本の底力が問われることになります。