カタールのドーハで行われている水泳の世界選手権は大会8日目、アーティスティックスイミングの、8人で演技するチームはフリールーティンの決勝が行われました。
今大会は、パリオリンピックの選考を兼ねていて、チームは、アクロバティックルーティンとテクニカルルーティン、それにフリールーティンの3種目の決勝の合計得点で、すでに出場権を獲得している国や地域を除く、上位5チームに入れば出場権を獲得します。
この種目、予選を2位で通過した日本は、冒頭で高さのあるジャンプ技を決めると、「チェス」をテーマにした演技で、連続した足技やキレのある手の動きなどで盤上を動く駒を表現しました。
最後まで集中力を切らさず泳ぎきった日本は、315.2229をマークして銀メダルを獲得しました。金メダルは中国、銅メダルはアメリカでした。
日本は、最初の種目で7位と出遅れたものの、テクニカルルーティンで銅メダルを獲得し、今回の銀メダルで3種目の合計点数を全体の4番目、すでに出場権を獲得していた中国を除いて3番目となり、パリオリンピックの出場権を獲得しました。
日本のチームでのオリンピック出場は、8大会連続となります。
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アーティスティックスイミング 日本が銀 パリ五輪出場権獲得
中東のカタールで行われている水泳の世界選手権のアーティスティックスイミング、チームのフリールーティンで、日本が銀メダルを獲得し、パリオリンピックの出場権を獲得しました。チームでのオリンピック出場は、8大会連続となります。
キャプテン 吉田萌 “本当によかった”
吉田萌選手は「スコアが出た瞬間は『本当によかった』と、そのひと言しか出てこなかった。私たちのゴールはここではなく、パリオリンピックでメダルを取ることが目標だ。その目標に向かって、またこれから再スタートしていきたい」と話していました。
また、16歳の比嘉もえ選手は「すごくうれしい気持ちでいっぱいだ。今大会、最初は出遅れてしまったが、そこから切り替えてみんなで戦えたと思う」と笑顔を見せていました。
精神面の対応が功を奏す
1996年のアトランタオリンピック以降、8大会連続となるチームでのオリンピック出場を決めたアーティスティックスイミングの日本代表。
ミスが許されない張り詰めた演技が続く中、チームで取り組んできた精神面の対応が功を奏しました。
アーティスティックスイミングは去年、大幅なルール変更があり、フィギュアスケートのように1つ1つの技ごとに難易度が設定され、その技の出来栄えで採点される方式になりました。
技が1つでも認定されないと得点が伸びないため、いかに難度の高い技を正確に表現できるかがポイントです。
キャプテンの吉田萌選手も「新しいルールになって、ミスが許されないギリギリの緊張感がある」と受け止めています。
そうした中で、チームは精神面の重要性に着目し、月1回、全体で行うメンタルトレーニングを導入しました。
専門家を交えて、試合前の準備や、オンとオフの切り替えなど、テーマに沿って意見を話し合う場を1時間半程度、設けたのです。
中島貴子ヘッドコーチは「『私はこう思っている』とか『ここは自信がない』といったことを選手どうしで話せるようになった。互いの思いを感じられるようになり、メンタルが安定してきた」と精神面での成長を明かしました。
今回の世界選手権でも、その強さが発揮されました。
チーム、最初の種目のアクロバティックルーティンで、日本は1つの技が認定されずに得点を伸ばせず、7位に終わりました。
すると、キャプテンの吉田選手を中心に「気持ちで負けてしまったら流れに乗れなくなる。結果はついてくるということをみんなで信じて気持ちを強くしていこう」と話し合って気持ちを切り替え、続くテクニカルルーティンでは正確な演技で巻き返し銅メダルを獲得したのです。
その勢いのまま、フリールーティンでも息の合った演技で高得点をマークして銀メダルを獲得し、あとがない状況からパリオリンピックの出場権をつかみました。
吉田選手は「最初は出遅れたが、みんなが気持ちを切り替えて、一つ一つ目の前のことに集中できた。それが今回のよかった点だと思う」とチームの結束を語りました。
東京オリンピックではならなかったメダル獲得へ、さらに結束を高めパリの舞台へ向かいます。