衆院予算委集中審議 旧統一教会との関係 政治資金問題など論戦

国会は衆議院予算委員会で集中審議が行われ、盛山文部科学大臣と旧統一教会との関係や自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題のほか、外交や農業などをめぐって論戦が交わされました。

自民党の山田賢司氏は北朝鮮による拉致問題をめぐり「今この瞬間も自由を奪われ続けている日本人が多数取り残されている。長年にわたり帰国が実現できていない現実を踏まえ、被害者の奪還策を根本的に見直してほしい」と求めました。

これに対し岸田総理大臣は「今こそ大胆に現状を変えていかなければならない。さまざまなルートを通じて絶えず働きかけを行っており、結果につなげるよう最大限努力したい。1日も早いすべての拉致被害者の帰国に向け果断に取り組む」と述べました。

公明党の角田秀穂氏は農業の担い手不足をめぐり「人口減少の中で食料安全保障を確保するため、人材の確保は極めて重要だ。食料確保のための環境整備にリーダーシップを発揮して取り組みを加速してもらいたい」と指摘しました。

これに対し岸田総理大臣は「女性や若者も含めた人材が活躍できるスマート農林水産業、ドローンやAIなどの活用による生産性の向上など、デジタル化の促進に取り組む。食料安全保障を担う地域が持続的なものとなるよう取り組みを加速したい」と述べました。

立憲民主党の渡辺創氏は盛山文部科学大臣と旧統一教会との関係をめぐり「盛山大臣は解散命令を請求し、一点の曇りもなく国の利益を代表しなければならない立場で、相手の支援を受けた可能性があるなら、その立場から排除するのが賢明だ。現時点で更迭すべきで、早急に判断すべきだ」と追及しました。

これに対し岸田総理大臣は「過去について指摘を受けているが、任命の時点から現在、そして未来に向けて、関係は一切断っている。裁判所での審理は提出資料に基づき、適切に行われるものと認識しており、政府を挙げて審理が進むよう協力していく」と述べました。

また、盛山大臣は、教団の関連団体から推薦状を受け取ったかどうかなどについて改めて認識を問われ「はっきり覚えていないというのが私の今の認識だ。写真が提示され『そうだったかもしれない』と申し上げたが、明確に覚えているものではない」と述べました。

日本維新の会の小野泰輔氏は国会議員に支給されている「調査研究広報滞在費」の使いみちをめぐり「領収書の公開が前に進まないが、明らかにすると『大変だ』と思う議員がいるのではないか。プライベートのお金として使っていないか自民党は調べるべきだ」とただしました。

これに対し岸田総理大臣は「全党の共通のルールに基づいて対応すべき課題で、国民の信頼回復のためにどうあるべきなのか、自民党としても当然、真摯に議論に臨み、貢献したい」と述べました。

共産党の高橋千鶴子氏は能登半島地震の対応をめぐり「ホテルなどの2次避難所では今月中か来月には、契約を解消するというところが多く、背景に3月の北陸新幹線の延伸や政府の『北陸応援割』があるのではないか」と質問しました。

これに対し岸田総理大臣は「2次避難に支障が生じないよう『北陸応援割』に参加する宿泊施設には協力を呼びかけている。実施は現時点で3月、4月を念頭に置いているが、具体的な開始時期は2次避難や住まいの提供の状況を踏まえ、地域ごとに柔軟に対応する」と述べました。

国民民主党の長友慎治氏は来年開催される大阪・関西万博をめぐり「各地の農林水産物をアピールする絶好の機会だ。期間中の訪問客の見込みや会場内のレストランで必要になる食事はどのくらいと試算しているか」と質問しました。

これに対し岸田総理大臣は「万博の来場者数は、万博協会によれば、およそ2820万人と想定されており、飲食施設は現時点で63店舗が公募で設置されるほか、企業のパビリオンなどでも出店が検討されている」と述べました。

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で関係議員による収支報告書の訂正で支出額などが「不明」とされるケースが相次いだことについて、岸田総理大臣は「数字が確定するまで『不明』という形で訂正し、確定すれば、その数字を記載するということはありうる」と述べました。

また「宏池会」=岸田派の収支報告書の訂正について「政治資金パーティーの収入が増えたのに、対価を支払った人数が変わっていない」と指摘されたのに対し「『宏池会』としては修正すべき数字が確定してから修正を行う。実際の数字が確定したら修正するのは当然だ」と説明しました。

一方、すべての党所属議員を対象にしたアンケートについて、岸田総理大臣は「きのうを締め切りとし、この週末にかけて内容などを整理し、精査した上で来週早々にもとりまとめを予定している。説明責任を果たす中で結果も明らかにしたい」と述べました。

その上で、岸田総理大臣は聴き取りやアンケートについて、「元議員の現支部長を含めて行い整理した上でとりまとめを行う。それをもって党として説明責任を果たすべく努めたい」と述べました。

さらに政党から議員に支給される「政策活動費」の党内手続きについて説明を求められたのに対し「内容に応じて内規や慣行が定められている。内部での運営のしかたや手続きを申し上げることは控える」と述べました。

このほか、日本を含む複数の関係国が資金の拠出を停止しているUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関について「多くの職員は献身的に人道支援活動に従事しており、UNRWAが本来の役割を果たすためにも、ガバナンスが信頼の置けるものだと確認することが重要だ」と述べました。

また、中国がTPP=環太平洋パートナーシップ協定への加入に意欲を示していることについて、岸田総理大臣は「中国が高いレベルを完全に満たし、加入後も満たし続ける意図と能力があるかどうかを見極める必要がある。中国の貿易慣行やビジネス環境には厳しい目が注がれている部分もあり、ほかの加盟国ともよく相談し、日本としての戦略的観点や国民の理解も踏まえ、対応を判断する」と述べました。

一方、国内のアメリカ軍基地周辺などで、有害性が指摘されている有機フッ素化合物=PFASが高い濃度で検出されている問題をめぐり、岸田総理大臣は「それぞれの地元で大きな不安を与えている大変大きな問題だ。政府としてはアメリカ軍施設区域内外の環境対策が実効的なものになるよう関係省庁を挙げて取り組んでいく」と述べました。

食料安全保障の強化をめぐり、岸田総理大臣は「海外依存度の高い品目の国産化を進め、農業構造を転換するとともに、コメや麦以外の重要な食料も在庫情報を把握できるよう検討する。不測時の緊急調達のため、輸入先の多角化などもこれまで以上に進めていく」と述べました。