狂犬病の予防接種を受けず 12人にかみついた犬 群馬 伊勢崎

7日、群馬県伊勢崎市で小学生を含む12人にかみついてけがをさせた犬について、飼い主が法律で義務づけられている狂犬病の予防接種を受けさせていなかったことが市への取材でわかりました。警察が過失傷害や狂犬病予防法違反などの疑いもあるとみて調べています。

7日、伊勢崎市で住宅で飼われていた四国犬が逃げ出し、公園の近くにいた小学生などに次々とかみつき、小学生9人を含む12人がけがをしました。

この犬について飼い主が法律で義務づけられた狂犬病予防の自治体への登録をせず、年に1回の予防接種を受けさせていなかったことが市への取材でわかりました。

また、飼い主は合わせて7頭の四国犬を飼っていますが、狂犬病予防の登録をしているのは3頭だけで、その3頭も9年前から予防接種を受けた記録がないということです。

このため市は8日、飼い主に対して狂犬病予防法に基づき、行政指導を行いました。

市によりますと飼い主は登録や予防接種をしていなかったことを認めているということです。

警察は過失傷害や狂犬病予防法違反などの疑いもあるとみて調べています。

予防接種が義務づけられる 狂犬病とは

厚生労働省によりますと、狂犬病はウイルスに感染した犬や猫などの動物にかまれ、だ液に含まれるウイルスが傷口から体の中に入ることで人に感染します。

人が感染した場合はすぐにワクチンを接種すれば発症を防ぐことができますが、いったん発症すると有効な治療法はなく、錯乱やけいれん、それに呼吸障害などの症状が出て、ほぼすべての患者が亡くなるということです。

日本国内で犬などにかまれて人が狂犬病を発症したケースは、1956年を最後に報告はなく、厚生労働省は現在、国内でかまれても感染の心配はないとしています。

一方、海外ではアジアやアフリカを中心に多くの死者が出ていて、狂犬病は深刻な問題となっています。

このためウイルスが日本に入り込んできた場合に備えて、飼い主は狂犬病予防の登録を市町村に行い、年に1回の予防接種を受けさせることなどが法律で義務づけられています。

また、これらに違反した場合は、20万円以下の罰金の対象となります。

狂犬病の予防注射率は減少傾向

犬の飼い主は狂犬病予防法に基づき、住んでいる市区町村に飼っている犬を登録して毎年1回、狂犬病の予防注射をすることが義務付けられています。

厚生労働省によりますと予防注射の間隔が半年に1回から1年に1回に変わった1985年以降、全国の注射率はほぼ100%を推移していましたが、1996年ごろから減少傾向となり、2000年度には80%を下回りました。

その後も減少は続いていて最新の2022年度の統計では、全国の市区町村に登録されている犬606万7716頭に対し、予防接種を受けたのは429万9587頭となっていて、接種率は70.9%にとどまっています。

WHO=世界保健機関は狂犬病のまん延を防ぐためには、注射率を70%以上に保つこととしています。

厚生労働省は飼い犬は必ず登録し、年に1回予防注射をするように呼びかけています。