広島から送られたイチョウ チリの山火事で致命的被害免れる

131人の死亡が確認された南米チリの大規模な山火事で、敷地の大部分が燃えた国立植物園では、日本から送られたイチョウが致命的な被害は免れていたことがわかりました。この木は原爆が投下された広島で生き延びたイチョウの種から育てられたということで、植物園の職員は「復興への希望になる」と話しています。

南米チリの沿岸部を中心に発生した大規模な山火事では、住宅が密集する山あいの地域を中心に大きな被害を受け、これまでに131人の死亡が確認されています。

特に被害の大きかった中部ビニャ・デル・マルにある国内最大の国立植物園も山火事で大部分が燃え、当時、中にいた職員とその家族、あわせて4人が犠牲になりました。

この植物園には「平和の庭」と名付けられた場所があり、日本から送られたイチョウやクスノキが育てられていましたが、山火事による熱の影響で葉が枯れたように茶色く変色してしまいました。

しかし、職員が詳しく調べたところ、枝の内部には水分が残っており、致命的な被害は免れていたことが分かりました。

この木は1945年に原爆が投下された広島で生き延びたイチョウの種から育てられたということで、種は10年ほど前に広島の市民団体から送られました。

植物園の職員、アドリアナ・アランシビアさんは「この木は私たちに復興への希望を与えてくれます。日本の人々に感謝したい」と話していました。