“トランプ氏立候補資格なしに判事が懐疑的姿勢”米メディア

ことし秋のアメリカ大統領選挙で返り咲きを目指すトランプ前大統領の立候補資格をめぐる裁判の弁論が連邦最高裁判所で開かれました。アメリカのメディアは、トランプ氏に立候補資格がないとすることに対し、判事が懐疑的な姿勢を示したと伝えています。

アメリカ西部コロラド州の最高裁判所は去年12月、3年前の連邦議会への乱入事件を「反乱」だとした上で、トランプ前大統領が関与したと認定し、国に対する反乱に関与した公務員が国や州の職に就くことを禁じた憲法の規定に基づき、大統領選挙に向けた州の予備選挙に立候補する資格はないとする判断を示しました。

トランプ氏はこれを不服として上訴し、8日、首都ワシントンにある連邦最高裁判所で弁論が開かれました。

トランプ氏本人は出廷しませんでした。

弁論では連邦最高裁のロバーツ長官が、コロラド州の判断を認めれば州ごとに立候補資格の有無を判断できることになるとして、「一握りの州が大統領選挙を決定づける事態になりかねず、極めて恐ろしい結果を招く」と述べるなど、複数の判事から影響の大きさを指摘する発言が相次ぎました。

アメリカの主要メディアは、トランプ氏に立候補資格がないとすることに対し、判事が懐疑的な姿勢を示したと伝えています。

トランプ氏は大統領選挙に向けた野党・共和党の候補者選びで連勝し、最有力候補となっていて、今後の選挙戦を左右する可能性もある最高裁の判断に大きな関心が集まっています。

トランプ前大統領「私はこの国を信じ 最高裁を信じている」

アメリカのトランプ前大統領は連邦最高裁判所での弁論が終わった後、南部フロリダ州の邸宅で記者団の取材に応じました。

この中でトランプ氏は今回の裁判について、「民主党によるさらなる選挙妨害だ」と述べて、大統領選挙に向けて選挙妨害を受けているという主張を繰り返しました。

一方で、自身の弁護団の弁論について、「とても良かった。好意的に受け止めてもらえたと思う」と述べて、自信を見せました。

そして、トランプ氏は「私はこの国を信じ、最高裁を信じている。あらゆる場所で選挙戦をリードしている人物に『あなたには立候補させない』と言えるだろうか。それはかなり難しいと思う」と述べました。

原告の1人 “勝てる自信がある”

審理が終わったあと、記者会見に応じたコロラド州の原告の1人、ノーマ・アンダーソンさん(91)は連邦最高裁判所での審理の様子について、「法廷はいつものようにとても静かだった。時々、少し笑いが起きたが、とても集中していた。判事一人一人が非常に注意深く耳を傾けているように感じた」と話していました。

そして、「判事から通常より多くの質問があったように思うが、それは関心の高さの表れのように感じた。自分たちの義務が何なのか知りたがっているようだった」と話し、勝てると思うか問われ、「もちろん、自信がある」と答えていました。