【詳細】ハマスが休戦提案 イスラエルは拒否の姿勢(2月8日)

ガザ地区での戦闘の休止と人質の解放に向けた交渉を巡りイスラム組織ハマスの幹部は、4か月半にわたって休戦し、3段階に分けて人質の解放を進めることなどをイスラエルに対して提案していると明らかにしました。
これに対して、イスラエルのネタニヤフ首相は、ハマスの壊滅に向けた軍事作戦を続ける方針を強調し、提案を拒否する姿勢を示しました。

※イスラエルやパレスチナに関する日本時間2月8日の動きを、随時更新してお伝えします。

ハマス引き続き協議も 合意実現は不透明

イスラエルのネタニヤフ首相は7日夜、記者会見で、「軍には南部ラファでの作戦準備をするよう指示した」と述べ、100万人以上の住民が避難するラファへの地上作戦を本格化させる構えを示しました。

ハマスは7日、代表団がエジプトの首都カイロを訪れて仲介するカタールやエジプトと引き続き協議することを明らかにしていますが、交渉を巡るイスラエルとハマスの隔たりは大きく、合意が実現するかは依然、不透明です。

上川外相 “UNRWAに適切な対応強く求める”

UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関をめぐっては、去年10月のハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃に複数の職員が関与した疑いが浮上したことを受けて、アメリカやイギリスなどに続き日本政府も1月、資金拠出の一時停止を表明しました。

これについて上川外務大臣は8日の衆議院予算委員会で、「疑惑を極めて憂慮している。国連による調査が行われ、対応策が検討されるまでの当面の間、UNRWAへの追加的な資金拠出を一時停止せざるをえない」と述べました。

その上で、「多くの職員はガザ地区の人道支援に献身的に従事しており、本来の役割をしっかり果たしてもらいたい。国連やUNRWA、関係国と緊密に連携し、ガバナンスの強化を含め、適切な対応を取ることを強く求めるとともに、国連の調査にも積極的に協力していきたい」と述べました。

米軍「イラク領内で親イラン民兵組織の幹部殺害」

アメリカ中央軍は7日午後、イラク領内を攻撃し、イランの支援を受ける民兵組織「カタイブ・ヒズボラ」の幹部を殺害したと発表しました。

アメリカ国防総省は、これまで、ヨルダンでアメリカ兵3人が死亡した攻撃に「カタイブ・ヒズボラ」が関与した可能性があるとの見方を示していました。

アメリカ軍は殺害した幹部について「アメリカ軍の部隊に対し、直接、攻撃を計画したり、実行したりしていた」と主張していて、攻撃は報復措置だとしています。

アメリカ軍は今月2日にも、イラクとシリアの領内にあるイランの軍事精鋭部隊の関連施設などを空爆していて、ホワイトハウスの高官は、攻撃は一定期間続くとの考えを示していました。

これについてイラクの治安当局はアメリカ軍が首都バグダッドで無人機による攻撃を行ったと明らかにしたうえで「攻撃はイラクの主権を侵害し、地域に危険な影響を与えるものだ」と非難しました。

“4か月半休戦 3段階に分け人質解放” ハマス幹部 提案明かす

ガザ地区では、イスラエル軍による攻撃が続いていて、7日、地区の保健当局はこれまでの死者が2万7708人に上ったと発表しました。

イスラエルとハマスの間では、カタールなどを仲介役として戦闘の休止と人質の解放に向けた交渉が進められ、ハマスがイスラエル側の提案に回答したことが明らかになっています。

7日、ハマスの幹部は中東の衛星テレビ局アルジャジーラの取材に対して、4か月半にわたって休戦し、この中で45日間ずつ3段階に分けて人質の解放を進めることなどを提案していると明らかにしました。

ロイター通信などは独自にその内容を入手したとして、第1段階で女性や子どもなどを解放すると伝えています。

第2段階でさらに解放を進め、第3段階で遺体を返還するとしています。

また、第2段階に移行するには、双方が戦闘の終結を巡る協議を終えることが条件とされ、期間中にガザ地区からのイスラエル軍の撤退なども要求していると伝えています。

イスラエル首相「勝利は目の前」 ハマスの提案拒否の姿勢示す

イスラエルのネタニヤフ首相は7日、記者会見を開き、「ガザ地区における戦争の完全な勝利は目の前だ」と述べ、ハマスの壊滅に向けた軍事作戦を続ける方針を改めて強調しました。

その上で「ハマスの要求に屈することは大惨事をもたらす」と述べハマスの提案を拒否する姿勢を示しました。

米国務長官「合意に向けて交渉する余地はある」

イスラエルを訪問しているアメリカのブリンケン国務長官は7日、記者会見を開き、ガザ地区の戦闘休止と人質の解放に向けた交渉をめぐるイスラム組織ハマスからの提案について「到底受け入れられない部分があるが、合意に向けて交渉する余地はある」と述べ、交渉を続けていく考えを示しました。

また、ブリンケン長官は「イスラエルには民間人を保護し、民間人が必要な支援を受けられるようあらゆる方策を講じる責任がある。イスラエルは軍事作戦を行う上では何よりも民間人のことを考えなければならない」と述べ、イスラエル側に民間人の保護を徹底するよう改めてくぎを刺しました。