【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(2月8日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる8日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ侵攻批判の元下院議員 ロシア選管が立候補認めず

ロシアによるウクライナ侵攻を批判し、3月に行われるロシアの大統領選挙への立候補に向けた手続きを進めているナデジディン元下院議員について中央選挙管理委員会は8日、一部の署名に不備があったとして立候補は認められないとする判断を下しました。

3月に行われるロシアの大統領選挙に向けては、プーチン大統領などあわせて4人が手続きを終え、立候補が認められています。

このほか、ウクライナへの侵攻を批判するナデジディン元下院議員が立候補に向けて、1月31日に必要な10万人以上の有権者の署名を提出していて、中央選挙管理委員会は8日、立候補を認めるかどうか会議を開きました。

会議にはナデジディン氏自身も出席し、この中で選挙管理委員会は、署名にはすでに死亡した人が含まれていたなどと指摘し、およそ9000の署名は無効だと認定したと説明しました。

そのうえで選挙管理委員会は、必要とされる署名数に達しなかったとしてナデジディン氏の立候補は認められないとする判断を下しました。

一方、ナデジディン氏は会議のあと記者団に対し、判断は不服だとして最高裁判所に訴える考えを示しました。

ウクライナへの軍事侵攻を批判するナデジディン氏はプーチン大統領に対抗する候補者になるか注目されていて、政権側が警戒を強めているともみられていました。

ロシア大統領府 “あくまで法令にのっとって判断”

ロシア大統領府のペスコフ報道官は8日、ナデジディン氏の大統領選挙への立候補手続きについて「きょう、われわれが中央選挙管理委員会から聞いたのは、多くの署名が無効だったため重要な要件が満たされていないということだ。コメントすべきことはない」と述べました。

その上で、「中央選挙管理委員会は、候補者のために定められた規則をきちんと守っている」として、あくまで法令にのっとって判断していると強調しました。

“ウクライナ軍 大幅に兵士が不足” 米国有力紙

アメリカの有力紙、ワシントン・ポストは8日、ウクライナ軍の前線の司令官や兵士などおよそ10人の話として、兵士の数が大幅に不足していると伝えました。

この中で、東部の前線を指揮する大隊の司令官は、通常は200人以上いる歩兵が40人未満しかいないとしているほか、別の大隊の司令官は本来の兵力の35%程度で戦っていると述べたということです。

寒さが厳しい冬の季節はおよそ3日ごとに兵士を休ませるなどするということですが、兵力不足でこうした態勢の維持が難しく、兵士が疲弊し、士気も低下しているとしています。

ウクライナ軍をめぐっては、欧米からの支援の遅れなどで砲弾などの弾薬が不足し、弾薬の数でもロシアに圧倒されているとも報じられていて、前線では厳しい状況が続いている可能性があります。

こうした中、軍が50万人規模の動員を求める一方、ゼレンスキー大統領は国民への影響や訓練の状況などから慎重な姿勢を見せ、意見が対立しているとも伝えられています。

アメリカ ウクライナなどへの軍事支援 トランプ氏反対で暗礁に

軍事面でウクライナの最大の支援国となってきたアメリカは、去年暮れの支援をもって予算が枯渇し、追加の予算が承認されないかぎり、支援を行えない状況が続いています。

アメリカ議会上院では、与野党が長期間におよぶ協議の末、ウクライナやイスラエルなどに対する軍事支援と、野党・共和党が求めるメキシコとの国境管理の強化策を抱き合わせることで合意しましたが、7日、この緊急の予算案の審議を進めるかどうかを決める採決を行った結果、反対多数で否決されました。

背景には、11月の大統領選挙で返り咲きを目指すトランプ前大統領が「ひどい法案だ」などと反対を表明し、共和党の議員が直前になって反対に転じたことがあります。

共和党が多数派の議会下院では、トランプ氏に近いジョンソン議長が、国境管理の大幅な強化を掲げ、ウクライナへの支援には消極的な姿勢です。

ウクライナ支援は、国境管理の問題とともにアメリカ大統領選挙の大きな争点となっており、2月24日で侵攻が始まって2年となるなか、アメリカが支援を継続できるのか、一段と不透明になっています。

プーチン大統領 米国元看板キャスターのインタビューに応じる

ロシア大統領府のペスコフ報道官は7日、プーチン大統領がモスクワを訪問しているアメリカのFOXニュースの元看板キャスター、タッカー・カールソン氏のインタビューに応じたと明らかにしました。

ウクライナへの軍事侵攻以降、プーチン大統領が欧米メディアのインタビューに応じたのは初めてとされています。

カールソン氏は、アメリカの保守層に人気があり、トランプ前大統領に近い存在として知られています。

アメリカ大統領選挙で共和党の最有力候補となっているトランプ氏は、民主党のバイデン政権によるウクライナへの軍事支援を批判し、アメリカでは必要な緊急予算を巡って協議がまとまらず、支援の動きが停滞しています。

プーチン大統領としてはこれを好機ととらえ、インタビューに応じることで、ウクライナ侵攻を進めるロシアの主張を訴えかけ、支援の是非を巡って世論が割れるアメリカ側に揺さぶりをかけるねらいもあるとみられます。

インタビューの内容は近く公開されるとみられますが、ロシアの主張を一方的に伝える機会を与えたと批判する見方も出ています。

ロシア軍 キーウなどで大規模攻撃 市民5人死亡48人けがの被害

ウクライナ空軍は7日、ロシア軍があわせて64の弾道ミサイルや無人機などを使い各地で大規模な攻撃を行い、44のミサイルなどは撃墜したと発表しました。

この攻撃で首都キーウで集合住宅が被害を受けたほか、一部で停電も起きるなどウクライナ大統領府によりますと各地であわせて市民5人が死亡し、少なくとも48人がけがをしたということです。

また、キーウには当時、EU=ヨーロッパ連合の外相にあたるボレル上級代表がウクライナへの支援を協議するため滞在していて、ボレル氏はSNSで「防空警報が鳴り響く中、シェルターで朝を迎えた。これが市民の日常なのだ」と非難しました。

“ロシア 凍結の北朝鮮金融資産 解除の可能性” NYタイムズ

アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズは6日、アメリカの同盟国の情報当局者の話として、ロシアがかつて欧米側とともに凍結していた北朝鮮の金融資産を解除した可能性があると伝えました。

北朝鮮からミサイルや弾薬を獲得する見返りの措置とみられ、具体的には、ロシアの金融機関にある北朝鮮の凍結資産3000万ドルのうち、900万ドルの解除を許可し、北朝鮮はこの資金で原油を購入する予定だとしています。

また、北朝鮮側は、ロシアの隣国ジョージアのロシアの影響力が強い南オセチアで、新たに銀行口座を開設し、制裁を回避するねらいだと指摘していて両国の関係強化に対する各国の懸念がいっそう強まるとみられます。

IAEAトップ ザポリージャ原発を視察

IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は7日、SNSに投稿し、ロシアが占拠するウクライナ南部のザポリージャ原子力発電所を視察したことを明らかにしました。

グロッシ事務局長がザポリージャ原発を訪れたのは去年6月以来、4度目です。

今回の視察では、原子炉の冷却に必要な外部からの電力の供給や、原発で働くスタッフの状況などについて確認したということです。

グロッシ事務局長は投稿のなかで「満足できる状況には全くない」としていて、原発をめぐる状況は依然、不安定だという認識を示しました。

グロッシ事務局長は、来週にはロシアを訪れるとしていて、原発の安全の確保に向けて関係者と協議することにしています。