“南海トラフで巨大地震”評価検討会「特段の変化観測されず」

南海トラフで巨大地震が起こる可能性を評価する定例の検討会が開かれ、「特段の変化は観測されていない」とする見解をまとめました。

専門家でつくる検討会は南海トラフの想定震源域やその周辺で観測されたデータを分析しました。

それによりますと、巨大地震の想定震源域にあたる地域では先月以降、目立った地震はありませんでした。

一方、プレート境界付近で「深部低周波地震」と呼ばれる小規模な地震が、
▽東海から紀伊半島中部で12月22日から先月6日、
▽四国中部で12月23日から先月2日、
▽四国東部で先月25日から観測されています。

これに伴って、周辺の複数の「ひずみ計」でわずかな地殻変動が観測されました。

いずれも想定震源域のプレートの境界が数日から1週間程度かけてゆっくりとずれ動く「短期的ゆっくりすべり」が原因とみられます。

このほか▽四国中部で2019年の春ごろから、▽静岡県西部から愛知県東部にかけて2022年はじめから、地殻変動が継続的に観測されていて、いずれも▽四国中部周辺と▽渥美半島周辺のプレートの境界が年単位でゆっくりとずれ動く「長期的ゆっくりすべり」が原因とみられます。

このうち、四国中部周辺のゆっくりすべりは最近は鈍化しているということです。

これらの現象は繰り返し観測されていることから、検討会は「大規模な地震の発生の可能性がふだんと比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていない」とする見解をまとめました。

検討会の会長で東京大学の平田直名誉教授は「先月の能登半島地震が南海トラフのプレート境界に影響していないことを確認した」と述べたうえで、「南海トラフではいつ地震が起きても不思議はない状態のため、改めて地震への備えをしてほしい」と呼びかけています。