流氷に囲まれたシャチ 姿見えず「脱出か」北海道 羅臼町沖合

6日、北海道東部羅臼町の沖合で流氷に囲まれ動けなくなっていたシャチの群れは、7日になって姿が見えなくなりました。町は「密集していた流氷がゆるんで脱出できたのではないか」と話しています。

羅臼町の沖合では6日、10頭以上のシャチの群れが流氷に囲まれて動けなくなっている様子が、トドなどの調査をしていた民間業者のドローンによって撮影されました。

映像を見た東京農業大学の小林万里 教授は、群れの中に子どものシャチも交じっていたとしたうえで「流氷に取り囲まれたためシャチが海面から頭を出して息継ぎをする場所を周りに見つけられず、泳ぐ能力が低い子どもを置いていけないのではないか」と指摘しました。

これを受けて、羅臼町では7日、午前と午後の2回、職員を派遣して、現場の様子を確認したところ、陸上からはシャチの姿は見えなくなっていたということです。

町によりますと、7日朝になって、密集していた流氷がいくぶんゆるんでいるように見えたということで、「確かなことはわからないが、シャチは昨夜からけさにかけて脱出できたのではないか」と話しています。

釧路地方気象台によりますと、現場周辺は依然として、海流に流されて南下してきた流氷に広い範囲が覆われているということです。

ロシア救出の支援を行う用意ある

北海道東部・羅臼町の沖合で流氷に囲まれ動けなくなっていたシャチについて、ロシアの漁業庁は7日、救出の支援を行う用意があるとする書簡を日本の坂本農林水産大臣に宛てて送ったと発表しました。

書簡ではロシアはこうした状況で哺乳類を救出する経験と能力があるとしたうえで「可及的速やかに支援を提供する用意がある」としています。

ロシアは1988年、旧ソビエトの時代、アメリカのアラスカ州の沖合で氷に挟まれて動けなくなっているクジラを救出するために砕氷船を派遣したことがあり、この船が拠点としていたロシア極東のウラジオストクの中心部には救出を記念した高さ4メートルほどのクジラ3頭をかたどったモニュメントが設置されています。