米 共和党ネバダ州予備選「いずれでもない」ヘイリー氏 上回る

アメリカ大統領選挙に向けた野党・共和党の候補者選びをめぐり6日、西部ネバダ州で予備選挙が行われ、トランプ前大統領が参加しない中アメリカの主要メディアは「いずれの候補でもない」とする票がヘイリー元国連大使を上回ることが確実になったと伝えました。トランプ氏の支持者などが「いずれでもない」に投票したためとみられ、ヘイリー氏は「不在のトランプ氏」に敗れた形で、厳しい結果となりました。

ことし11月のアメリカ大統領選挙に向けた野党・共和党の候補者選びの第3戦の舞台は西部ネバダ州です。

6日、州が主催する予備選挙が行われましたが、共和党は予備選挙を公式な候補者選びの場として認めておらず、代わりに2月8日に党が主催する党員集会を行う予定です。

予備選挙にヘイリー元国連大使が参加した一方で、トランプ前大統領は党員集会への参加を届け出ていて予備選挙の投票用紙には主要な候補としてはヘイリー元国連大使の名前だけが記載されました。

集計の結果、日本時間7日午後6時の時点で、集計率83%で「いずれの候補でもない」が62.9%、ヘイリー氏が30.8%となり、アメリカの主要メディアは「いずれでもない」がヘイリー氏を上回ることが確実になったと伝えました。

トランプ氏の支持者などヘイリー氏に批判的な有権者が「いずれでもない」に投票したものとみられ、ヘイリー氏は「不在のトランプ氏」に敗れた形で、厳しい結果となりました。

一方、ネバダ州では6日、与党・民主党の予備選挙も同時に行われ再選を目指すバイデン大統領が集計率86%で90%近い票を獲得して勝利しました。

ネバダ州予備選 共和党混乱の経緯

ネバダ州では前回まで、民主、共和両党ともに党員集会で候補者選びを行ってきましたが、州議会で多数派を占める民主党が主導する形で3年前の2021年、両党の候補者選びは州が主催する予備選挙で行うとする州の法律が成立しました。

しかし、これに反発する共和党は予備選挙とは別に党が主催する党員集会を公式な候補者選びとして行うことを決めました。

このため、共和党の候補者選びでは、ネバダ州の代議員26人は党員集会の結果に応じて配分され、予備選挙の結果は代議員の獲得数に反映されません。

ネバダ州の共和党はトランプ氏に近いと言われていて、トランプ氏は党員集会に参加すると届け出ました。

一方、ヘイリー氏は予備選挙への参加を届け出ています。

候補者は予備選挙と党員集会のどちらか一方にしか届け出ができず、ネバダ州では党員集会に参加するトランプ氏がいわば不戦勝の形で代議員を獲得する見通しです。

共和党の候補者選びで初戦のアイオワ州、2戦目のニューハンプシャー州と続けて大差で敗れたヘイリー氏に対してトランプ氏やその周辺は選挙戦から撤退するよう圧力を強めています。

トランプ氏に近いネバダ州のロンバルド知事は1月、自身は党員集会でトランプ氏に票を投じるとともに予備選挙では「いずれの候補でもない」に投票するつもりだと公言していました。

ただ、ヘイリー氏の陣営は1月だけで1か月の額としてはこれまでで最も多い、1650万ドル、日本円で24億円を超える資金を新たに集めたと明らかにするなど選挙戦を続ける姿勢を強調しています。

ヘイリー氏は、共和党がネバダ州での公式な候補者選びと位置づけている党員集会に参加しないことについて、1月に記者団に対し「ネバダの人々に聞けば党員集会は閉鎖的だと言うはずだ。私たちはもっと公平な州に重点を置く」と述べています。

また、ヘイリー氏の陣営の責任者はネバダ州での党員集会について今週、記者団に対し「トランプ氏を利するよう不正に仕組まれたものだ」と述べて批判し「われわれはネバダ州には資金も労力も全く注いでいない」としてネバダ州は重視していないと強調していました。

ヘイリー氏はネバダ州の予備選挙の前日の5日、かつて州知事も務めた地元、サウスカロライナ州で集会を開き支持を訴えていて、アメリカメディアは、ヘイリー氏の陣営がネバダ州でトランプ氏と直接、対決しても勝てる可能性は低いと判断し、2月24日に予備選挙が行われるサウスカロライナ州での活動に資金や要員を集中的に注ぐ戦略をとったという見方を伝えています。