石川 輪島の鮮魚店 被害大きく廃業検討も… 新たな出発を模索

能登半島地震で被災した石川県輪島市の鮮魚店は、およそ70年にわたって地元の漁港で水揚げされた魚を飲食店などに卸してきましたが、地震で大きな被害を受けました。経営者の男性は廃業を検討する一方、将来的な店の復活を見据え、地元で新たな出発を模索しています。

輪島市で祖父の代から、およそ70年続く鮮魚店を経営する中小路武士さんは、輪島などで水揚げされた新鮮な魚を市内の飲食店や旅館など、およそ40店舗に卸してきました。

今回の地震で、冷蔵庫や魚を入れる水槽が壊れるなど、大きな被害を受けたうえ、輪島では、地元の漁師たちが漁を再開できる見通しも立っていません。

この1か月で店をおおむね片づけましたが、取引先の飲食店も営業を再開できない状態が続く中、現在は廃業を検討しているということです。

中小路さんは「腐った魚を見て『終わった』と思いました。取引先の店舗も倒壊したところもあって、もう、どうにもならない。魚を触るのが好きだったので、店を再開させたかったが今の環境は厳しすぎる」と苦しい表情で話していました。

一方、中小路さんは地震のあと、市内の飲食店などと一緒に、被災した人たちのために炊き出しや弁当の配布を行っています。

今後はボランティアなど、復興支援に携わる人たちに食事を提供できる場所もつくる計画で、そこに刺身などを提供しながら、将来的には鮮魚店も復活させたいと考えています。

中小路さんは「まだ1か月で、考えもまとまっていませんが、今は『何かしないと』と思っています。輪島はあたたかくて横のつながりも強いから、離れられない。輪島がよりよくなるように自分たちも頑張って、いずれ復興を見届けたい」と話していました。