富山 被災の老舗かまぼこ店が閉店“死ぬまで続けたかった”

能登半島地震で被災した、富山県氷見市の創業およそ90年の老舗かまぼこ店は、建物が半壊し再建するには資金的に難しいことなどから、閉店することになりました。

富山県氷見市北大町にある「與市郎蒲鉾店」は創業およそ90年で、2代目の中村一成社長(83)は60年以上、かまぼこを作り続けてきました。

この店のかまぼこは手作りにこだわりがあり、地元の小学生に加えて外国人観光客や修学旅行生の絵付け体験も受け入れ、地元の観光の重要な拠点にもなってきました。

しかし、能登半島地震では床に亀裂が入ったり、入り口のガラスが割れたりしたため、自宅兼店舗だった建物は「半壊」し、立ち入りが「危険」と判定されました。

中村さんは地元のために今後もかまぼこを作り続けたいという思いがありましたが、再建するには資金的に難しく、年齢も考慮して閉店を決めたということで、建物は今後、解体することにしています。

店には、正月向けに作った富山ならではの「昆布巻き」や「赤巻き」などの商品が、消味期限が切れた状態で残されていました。

中村さんは「ショックでショックでかないません。建て直すのは大変なのでこれで終わりです。10年若かったら再建を考えましたが、年も年なので諦めました。死ぬまでかまぼこを作り続けたかったです」と話していました。