障害福祉サービスの報酬引き上げ 処遇改善に重点的に加算へ

障害福祉サービス事業所に支払われる報酬の来年度以降の引き上げについて、厚生労働省などは、人手不足を解消するため、職員の処遇改善に重点的な加算をつけていくことになりました。

障害福祉サービスの事業所に支払われる報酬は3年ごとに見直しが行われ、来年度からは全体で1.12%引き上げられることが決まっています。

厚生労働省とこども家庭庁は6日、専門家会議を開いて具体的な報酬の内容を報告し、了承されました。

この中では障害福祉分野は、ほかの職種と比べて賃金が低く人手不足が課題になっているため、賃金を来年度に2.5%、再来年度に2%ベースアップができるよう職員の処遇改善にあてる報酬の加算率を引き上げるとしています。

また、今回の改定では、専門性の高い人材の配置にも重点が置かれました。

このうち、自分や周りの人を傷つけるなどの行動が頻繁にみられる「強度行動障害」がある人については、専門的な知識がある人材がグループホームを繰り返し訪問して指導した際などの報酬を新設します。

また、障害のある子どもについては、地域で中核的な役割を果たす「児童発達支援センター」に専門的な知識を持つ人材を配置し、事業所や保育所と連携して子どもや家族への支援に取り組んだ場合に新たに報酬を加算します。

新たな障害福祉サービスの報酬はことし4月から順次改定されます。

専門家「給与に反映されるか注視していく必要」

障害福祉が専門で専門家会議の委員を務める筑波大学の小澤温 教授は、障害福祉分野の事業所で働く職員の処遇をめぐる課題について「今回の改定は、過去と比べて伸び率が高いが、他の産業と比べると、賃金は低く人手不足が続いているため、今回の報酬改定が、働く人の給与にしっかり反映されるかどうか今後注視していく必要がある」と指摘しています。

また、専門的な人材の配置に重点が置かれた点については、明確な方向性が示されたと評価したうえで「人材育成については現場でキャリアを積まないと専門性が身につけにくい。障害がある当事者に加えてその家族の支援が必要なケースもあり、そういう支援ができる人材を育てていくことが求められ、こうした専門性の高い人材を処遇面でも評価していべきだ」と話しています。