【詳細】イスラエル ラファでも地上作戦進める考え(6日)

イスラエルのガラント国防相は、100万人以上が避難し、人口が極度に密集しているガザ地区南部のラファでも地上作戦を進める考えを示し、さらなる犠牲者の増加が懸念されています。こうした中アメリカのブリンケン国務長官が戦闘休止と人質の解放に向けた交渉で仲介役を務めるエジプトとカタールを相次いで訪問し、交渉の進展を促すことにしています。

イスラエル 100万人以上避難のラファで地上作戦進める考え

イスラエルのガラント国防相は5日、「ハマスのリーダー、シンワルはイスラエル軍から逃げ回っている。隠れ家から隠れ家へと移動している」として、ハマスのヤヒヤ・シンワル指導者は周囲とコミュニケーションをとることも難しくなっていると主張しました。

そのうえで、「最後に残されたハマスの重要拠点があるラファ、そして中部や南部でまだ作戦を行っていなかった場所にもたどりつく」と述べ、ガザ地区で最も南にあるラファでも地上作戦を進める考えを強調しました。

イスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が続くなか、ガザ地区の保健当局は5日までに2万7478人が死亡したと発表していて、100万人以上が避難し、人口が極度に密集しているラファでも地上作戦が進められれば、犠牲者がさらに増える事態が懸念されます。

また、UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関ガザ事務所のホワイト所長は5日、SNSへの投稿で、ガザ地区北部に支援物資を運んでいたトラックがイスラエル軍による攻撃を受けたと明らかにし、激しい戦闘が続くなか住民への支援がままならない状況が続いています。

米ブリンケン国務長官 中東訪問 交渉の進展促せるか

アメリカのブリンケン国務長官が6日、戦闘の休止と人質の解放に向けた交渉でイスラエルとハマスの仲介役を担うエジプトを訪れ、続いてカタールも訪問する予定です。

交渉を巡っては、1月末から一定の進展が伝えられた一方で、ここ数日は難航が伝えられていて、イスラエルにも訪問する予定のブリンケン長官が交渉の進展を促すことができるか注目されています。

イスラエル首相 ハマス壊滅の方針 改めて強調

イスラエル軍による軍事作戦が続くガザ地区では、地元の保健当局の発表で5日までの死者が2万7478人に上っています。

ネタニヤフ首相は、5日、軍の部隊を視察し「この戦争は完全な勝利という目標を達成するまではやめない」と述べ、ハマスの壊滅を目指す方針を改めて強調しました。

イスラエルは、カタールなどを仲介役としてハマスとの間で戦闘の休止や人質の解放に向けた交渉を続けていますが、ハマス側は恒久的な停戦を求める考えを示していて、双方の立場に隔たりがあります。

こうした中、アメリカのブリンケン国務長官は交渉の仲介役のカタールやエジプトといった関係国などと協議するため中東地域への訪問に出発し、5日、最初の訪問先のサウジアラビアに到着しました。

交渉の実現を後押しするアメリカは、政府の高官が交渉はすぐにまとまる状況ではないとの認識を示していますが、ブリンケン長官が関係国との協議を通じて交渉を進展させられるか外交の動きも焦点となっています。

イラン支援の民兵組織から2回の攻撃 米国防総省

アメリカ国防総省のライダー報道官は5日、記者会見で、アメリカ兵3人が死亡した攻撃への報復措置として今月2日にイラクとシリアの領内を空爆して以降、これまでに、イランの支援を受ける民兵組織から2回の攻撃を受けたと明らかにしました。

標的となったのは、いずれもシリアの領内にあるアメリカ軍の拠点で、3日にロケット弾、4日に無人機による攻撃があったとしています。

アメリカ軍の兵士にけが人はいなかったということです。

一方、アメリカ軍とともに活動していたクルド人が死亡したとされていることについては、4日の攻撃だったと認めたものの、詳細は明らかにしませんでした。

イランの支援受ける民兵組織 米軍基地への攻撃続ける構え

アメリカ軍が、兵士が死亡した攻撃への報復措置としてイラクやシリアで空爆を行ったことに対し現地で反発が広がる中、イランの支援を受ける民兵組織は新たにアメリカ軍が駐留する基地を攻撃したと主張しました。さらに攻撃を続ける構えも示していて、衝突に歯止めがかかる見通しは立っていません。

アメリカ軍は中東のヨルダンで兵士3人が死亡した攻撃への報復措置として、2日、イラクとシリアにあるイランの軍事精鋭部隊の施設などを空爆しました。

これに対し現地で反発が広がる中イランの支援を受ける民兵組織、「イラクのイスラム抵抗運動」は声明を出し、4日シリア東部デリゾール県にあるアメリカ軍が駐留する基地を無人機で攻撃したと主張しました。

この中で「敵の拠点を破壊し続ける」として、今後もアメリカ軍への攻撃を続ける構えを示しています。

シリア国内の情報を集めている人権団体は、今回の攻撃は4日の夜から5日にかけて行われ、基地でアメリカ軍とともに活動していたクルド人勢力の7人が死亡したとしています。

アメリカの報復措置には、民兵組織側による攻撃を抑止するねらいがありましたが、衝突に歯止めがかかる見通しは立っていません。

ハンユニスの施設から約8000人退避

ガザ地区の南部ハンユニスでは、パレスチナ赤新月社が運営するアマル病院や赤新月社の本部が入る複合施設に身を寄せていた人が別の場所に退避を始め、人道状況のさらなる悪化が懸念されています。

パレスチナ赤新月社は、5日、複合施設に身を寄せていたおよそ8000人が退避し、施設には患者や高齢の避難者など少なくとも200人以上が残っていると明らかにしました。

赤新月社が投稿した映像にはリュックサックを背負いながら両手に荷物を持つ人の姿や、子どもの手を引きながら歩く人の姿がうつっています。

赤新月社は2週間にわたり付近が包囲され医療物資や食料が枯渇していることや、赤新月社や病院の幹部がイスラエル側に拘束されていることなども明らかにしています。

ガザ地区の基幹病院を巡っては、最大のシファ病院ではイスラエル軍がハマスの拠点があると主張し突入したほか、パレスチナ赤新月社が運営するクッズ病院は、燃料不足や攻撃による被害で稼働を停止しています。

国連は1月30日の時点でガザ地区では36の病院のうち13の病院しか機能しておらず、その機能も部分的なものだとしていて、人道状況のさらなる悪化が懸念されます。

国連事務総長 UNRWA検証グループ設置と発表

ガザ地区の支援を担っているUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関の複数の職員が、イスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃に関与した疑いが出たことについて、国連のグテーレス事務総長は5日、UNRWAが中立性を確保して活動しているかどうかを評価する独立した検証グループを設置したと発表しました。

検証グループのトップは、フランスのコロナ前外相が務め、スウェーデン、ノルウェー、デンマークのあわせて3つの研究機関と協力して、UNRWAの活動を検証するということです。

検証グループは2月14日から活動を開始し、ことし4月に最終的な報告書をまとめるとしています。

UNRWAをめぐっては、主要な資金拠出国が支援の停止を相次いで表明していて、今月中には活動を停止せざるを得なくなる可能性があるとしています。

国連のデュジャリック報道官は5日の定例会見で、ガザ地区の200万人の住民がUNRWAからの援助に依存していると強調したうえで、「拠出を停止した国などには寛大さを示し連帯を示すよう促したい」と述べ、UNRWAが活動を継続できるよう加盟国に理解を求めました。