衆院予算委 立民“政治改革実行を” 首相“今の国会で法改正”

国会は、衆議院予算委員会で新年度予算案の実質的な審議が始まりました。立憲民主党の岡田幹事長が、自民党の派閥の政治資金をめぐる問題を受けた政治改革の実行を迫ったのに対し、岸田総理大臣は今の国会で政治資金規正法の改正を実現すると強調しました。

衆議院予算委員会では、岸田総理大臣とすべての閣僚が出席して新年度・令和6年度予算案の基本的質疑が行われ、5日は自民党、公明党、立憲民主党が質問に立ちました。

自民 長島氏 「政策活動費」について

▽自民党の長島昭久氏は、政党から議員に支給される「政策活動費」について、「政治資金の透明化をめぐって国民から厳しい目が向けられており、使途を公開すべきではないかという議論がなされている。見解を示してもらいたい」と質問しました。

これに対し、岸田総理大臣は「各党で呼称はさまざまだが、政党などの政治活動のために用いられており、政治活動の自由とも密接に関わる。廃止や使途の公開を行う場合は各党・各会派の真摯(しんし)な議論を経て各政治団体共通のルールに基づいて行うべきだ」と述べました。

公明 高木政調会長「『連座制』強化の法改正が必要」

▽公明党の高木政務調査会長は「政治資金規正法の改正による再発防止の柱は、政治資金の透明性の確保と罰則の強化だ。国民の思いは、会計責任者だけが責任をとり、政治家は責任がないのかということで、いわゆる『連座制』強化の法改正が必要だ」と求めました。

これに対し岸田総理大臣は「例えば公職選挙法のような形での『連座制』の導入となると、対象とする政治団体の範囲や違反の種類について丁寧な議論が必要ではないか。各党・各会派が縛られる共通のルールなので、そういった点も念頭に置きながら協議を行いたい」と述べました。

立民 岡田幹事長 政治改革「 この国会でやり遂げる決意必要」

▽立憲民主党の岡田幹事長は、政治改革をめぐり「『火の玉になってやる』とか『先頭に立ってやる』というが、政治は結果責任だ。実行することが責任だというなら、この国会でやり遂げる決意が必要で、『できなければ責任を取る』ぐらいのことが言えないのか」と迫りました。

これに対し岸田総理大臣は「自民党が変わらなければならないという思いを持って党の中間とりまとめを実行する。法改正を伴う制度面の改革について、各党・各会派と真摯な協議を行うと明記しており、今の国会で政治資金規正法をはじめとする法改正を実現していく」と述べました。

《岸田首相の主な答弁》

“国会の政治倫理審査会に関係議員が出席し説明”検討について

▽自民党の浜田国会対策委員長が国会の政治倫理審査会に関係議員が出席して説明する方向で検討を進める考えを示したことについて、岸田総理大臣は「できるかぎりの説明責任を果たす中で、どのような手段を使うのか、党としても国会の関係者を中心に判断していきたい」と述べました。

「政策活動費」の使いみちについて

▽また、「政策活動費」の使いみちをめぐり、岸田総理大臣は「使途を広く公開すれば、わが党の活動と関わりのある個人のプライバシーや企業・団体の営業秘密を侵害したり、党の戦略的な運営方針がほかの政治勢力や諸外国に明らかになったりして不都合が生じる。それぞれの企業や個人のプライバシー、営業秘密を守るという観点は重要だ」と述べました。

「宏池会」の収入不記載について

▽さらに岸田総理大臣は、みずからが会長を務めていた「宏池会」=岸田派の収支報告書への派閥の政治資金パーティーの収入の不記載をめぐり、立件された2020年までの3年間より前の記載状況も調べるよう求められたのに対し「確認できる範囲内で最大限努力する。引き続き説明責任を果たしていく」と述べました。

二階元幹事長の「政策活動費」について

▽このほか、党から支給される「政策活動費」をめぐり、「5年で50億円も受け取っていた二階元幹事長は毎年、使い切っていたのか」と問われたのに対し、岸田総理大臣は「党勢拡大や政策立案、調査研究といった目的に沿ってすべて政治活動に必要な経費として、確認するまでもなく、適切に使用されていると認識している」と述べました。

北朝鮮 キム総書記からの見舞いのメッセージについて

▽一方、能登半島地震を受けて北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記から送られた見舞いのメッセージについて、岸田総理大臣は「相手側の対応を分析しつつ的確な対応を行っていく必要がある」と述べました。

北陸新幹線の敦賀・新大阪間について

▽能登半島地震の対応に関連し、岸田総理大臣は、着工の見通しが立っていない北陸新幹線の敦賀・新大阪間について「北陸新幹線の整備は復興への希望にもつながるもので、全線開業に向けた取り組みも重要だ。着工に向けた諸条件について検討を深め、一日も早い全線開業を実現したい」と述べました。

「能動的サイバー防御」の導入に必要な法整備について

▽また、サイバー空間での安全保障を強化するため、先手を打って対抗措置をとる「能動的サイバー防御」の導入に必要な法整備について、岸田総理大臣は「急を要する課題だが、乗り越えなければならない、整理すべき課題がある。可能なかぎり早期に、法案を示せるよう検討を加速する」と述べました。

自民 麻生副総裁の発言について

▽上川外務大臣の容姿などに触れた自民党の麻生副総裁の発言について、岸田総理大臣は「発言は撤回された。そのうえで、性別や立場を問わず年齢や容姿についてやゆし、相手を不快にさせることはあってはならず、慎むべきだ」と述べました。