将棋 「棋王戦」第1局 「持将棋」で引き分け

将棋の八大タイトルの1つ、「棋王戦」五番勝負の第1局が富山県で行われ、藤井聡太八冠(21)と挑戦者の伊藤匠七段(21)による対局は、互いの「玉」が詰む見込みがなくなる「持将棋」(じしょうぎ)によって、引き分けとなりました。

「棋王戦」五番勝負の第1局は富山県魚津市で行われ、振り駒の結果、藤井八冠の先手で午前9時に始まりました。

対局は序盤に大駒の「角」を交換する「角換わり」の形で、開始から1時間でおよそ60手と、テンポよく進行しました。

その後、藤井八冠、後手の伊藤七段ともに守りを固めながら出方をうかがう展開が続き、双方の「玉」が相手の陣地に入ります。

そして午後5時35分、129手までで互いの「玉」が詰む見込みがなくなる「持将棋」となり、規定によって第1局は引き分けとなりました。

タイトル戦で「持将棋」が成立するのは異例で、藤井八冠が公式戦で「持将棋」となったのは初めてです。

今回のタイトル戦で藤井八冠は「棋王戦」2連覇がかかり、現在、並行して行われている「王将戦」でもタイトル防衛に臨んでいます。

一方、挑戦者の伊藤七段は藤井八冠と同い年で、去年の「竜王戦」以来2回目のタイトル戦です。

前回は藤井八冠に4連敗で敗れていて、今回、雪辱を期す戦いとなります。

「棋王戦」五番勝負は先に3勝した方がタイトルを獲得し、次の第2局は今月24日に金沢市で行われる予定です。

藤井聡太八冠「もう少し深い認識が必要だった」

対局のあと、藤井聡太八冠は「うまく後手に手厚い陣形を作られてしまったので、もう少し深い認識が必要だったという気がしています」と振り返っていました。

公式戦で自身初の「持将棋」となったことについては、「全く意識していなかったです」とし、「次の第2局は後手番になると思うので、しっかり対局に向けて準備をしていきたい」と話していました。

伊藤匠七段「かなり神経を使いながらの展開」

一方、伊藤匠七段は「『持将棋』を目指す展開でしたが、こちらの『玉』の方が相手陣地へ入るのに手数がかかるので、かなり神経を使いながらの展開でした。第2局は少し間隔も空くと思うので、しっかり準備して臨みたいと思います」と話していました。