米 民主党 サウスカロライナ州予備選挙 バイデン大統領が勝利

秋のアメリカ大統領選挙に向けた与党・民主党の候補者選びは、事実上の初戦となる予備選挙が南部サウスカロライナ州で行われ、再選を目指すバイデン大統領が勝利しました。民主党は現時点でバイデン氏に対抗できる有力候補は出ておらず、夏の党大会でバイデン大統領が党の候補者に指名される見通しです。

ことし11月のアメリカ大統領選挙に向けた与党・民主党の候補者選びは南部サウスカロライナ州で3日、事実上の初戦となる予備選挙が行われました。

集計はおおむね終了し、再選を目指すバイデン大統領が得票率96.2%で勝利しました。

AP通信によりますと、これによりバイデン氏は代議員55人を獲得することになりました。

民主党の候補者選びは前回、2020年までは共和党と同様に初戦がアイオワ州、第2戦がニューハンプシャー州でしたが、党の全国委員会がバイデン氏の意向を受けて、人口の多くを白人が占める両州ではなく、黒人の人口が多いサウスカロライナ州を初戦とすることを決めました。

バイデン氏は前回の候補者選びで、アイオワ州では4位、ニューハンプシャー州では5位と出遅れたあと、サウスカロライナ州で黒人層から多くの支持を得て勝利したのをきっかけに勢いに乗り、党の指名を獲得した経緯があり、サウスカロライナ州で勝利して弾みをつけたい考えです。

全国委員会の決定に反発したニューハンプシャー州の民主党は先月23日に予備選挙を行い、バイデン氏が60%を超える票を得て勝利しましたが、全国委員会は決定に違反したとして代議員を配分していません。

民主党は現時点でバイデン氏に対抗できる有力候補は出ておらず、今後、各州で順次、行われる予備選挙や党員集会で、バイデン氏が過半数の代議員を獲得し、夏に開かれる全国党大会で党の大統領候補に指名される見通しです。

支持率低迷続くバイデン大統領

バイデン大統領の支持率は低迷が続いています。

政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」のまとめによりますと、今月2日時点の各種世論調査の平均では
▽バイデン氏を「支持する」と答えた人は41%
▽「支持しない」は55.4%となっていて
3年前の夏以降「支持しない」が「支持する」を上回る状態が続いています。

調査会社「ギャラップ」は、バイデン大統領の任期3年目にあたる去年1月から先月までの1年間の支持率の平均は39.8%で、1期目の大統領の同時期の支持率としては調査開始以来2番目に低いとしています。

最も支持率が低かったのは民主党のカーター大統領の37.4%で、カーター氏は再選を目指した選挙で共和党のレーガン氏に敗れています。

また、キニピアック大学が先月31日に発表した世論調査によりますと、政策ごとのバイデン氏の支持率は
▽「経済」では「支持する」が42%、「支持しない」が55%
▽「イスラエルとハマスの衝突への対応」では「支持する」が34%、「支持しない」が56%
▽「メキシコとの国境の管理」では「支持する」が28%、「支持しない」が63%となっています。

アラブ系アメリカ人の間でバイデン大統領批判の声高まる

イスラエル軍が攻勢を強め、ガザ地区での民間人の犠牲が増え続ける中、イスラエルを支持する立場を取り続けるバイデン大統領に対する批判の声が、特にアラブ系アメリカ人の間で高まっています。

アメリカ国内にはアラブ系アメリカ人がおよそ350万人いるといわれています。

全米最大のアラブ系アメリカ人コミュニティーは前回、2020年の大統領選挙でバイデン大統領とトランプ氏が激しく競り合った中西部ミシガン州にあります。

ミシガン州デトロイト郊外のディアボーンに住むフセイン・ダバジェさんは前回の大統領選挙でバイデン大統領を支持しました。

ダバジェさんは選挙運動にも参加し、何度かバイデン大統領と直接会う機会もありました。

「アラブ系アメリカ人のために尽くす」と訴えていたバイデン大統領に期待していたといいます。

しかし、ガザ地区で住民たちに甚大な被害が出ているにもかかわらず、イスラエルの自衛する権利を支持する立場を変えないバイデン大統領に失望し、この先、支持することはないといいます。

ダバジェさんは「イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まった去年10月7日より前にはバイデン大統領に投票しようと考えていたが、今は彼がすることに何一つ納得することができない」と話しています。

民主党支持者が多いとされているアラブ系アメリカ人ですが、ダバジェさんのようにバイデン大統領を支持できないと考える人が増えています。

アラブ系アメリカ人の団体が、イスラエルとハマスの衝突後の去年10月下旬に500人のアラブ系アメリカ人を対象に行った世論調査によると、バイデン大統領のイスラエル・パレスチナ情勢への対応に否定的な意見を持っていると答えた人は、67%でした。

バイデン大統領を支持すると答えた人は、前回、大統領選挙が行われた2020年には59%でしたが、今回の調査では17%と、40ポイント以上下がっています。

バイデン大統領は選挙集会を開くなど、再選を目指し動きだしていますが、集会では聴衆の一部からガザ地区での即時停戦を求める声が上がって、演説が中断する場面もたびたびあり、反発が強まっていることがうかがえます。