英北アイルランド 自治政府発足 初めて統一掲げる政党から首相

イギリスの北アイルランドで2年ぶりに自治政府が発足し、アイルランドとの統一を掲げるカトリック系の政党から初めて就任したオニール首相は、歴史的に対立してきたプロテスタント系の政党などと協力する姿勢を強調しました。

北アイルランドでは、イギリスからの分離を求めるカトリック系住民と、反対するプロテスタント系住民との30年以上にわたる激しい対立のあと、1998年の和平合意に基づき、双方を代表する政党が共同で自治政府を運営してきました。

このうち、プロテスタント系最大勢力のDUP=民主統一党は、2020年のイギリスによるEU=ヨーロッパ連合からの離脱後、北アイルランドとイギリス本土の物流の自由が失われたとして反発していましたが、スナク政権の法整備を受けて連立協議に復帰し、3日、2年ぶりに自治政府が発足しました。

首相には、議会第1党でカトリック系のシン・フェイン党のオニール副党首が就任し、アイルランドとの統一を掲げる政党から初めての首相となりました。

オニール首相は「われわれは出身や理想の違いにかかわらず将来をともに築いていけると信じている」と述べ、対立の歴史を乗り越えて協力する姿勢を強調しました。

シン・フェイン党は、過去に武装闘争を繰り返した過激派組織IRA=アイルランド共和軍の政治部門が前身で、イギリス国王への忠誠を拒否する立場からロンドンの議会には出席しておらず、今後、スナク政権との関係を含め自治政府の運営が注目されます。