「輪島塗」地震で廃業決める職人も 担い手減少の加速を懸念

今回の能登半島地震では石川県輪島市の伝統産業「輪島塗」の工房や店舗も大きな被害を受け、地震をきっかけに廃業を決める職人も出てきています。

輪島市にある創業60年余りの「漆芸 豪秀堂」は今回の地震に伴う火事で、朝市通りの近くの店舗が全焼する被害を受けました。

店を営んできた職人の坂水秀雄さん(88)は高齢で後継ぎもいないことから、地震の前から営業を少しずつ縮小していましたが、この地震をきっかけに店を閉じることを決めました。

3日は全焼した店舗とは別の場所にある工房で、床に散らばっていた漆を塗るための道具や漆器などを一つ一つ拾い集めて整理していました。

坂水さんは「90歳を過ぎるまで頑張ろうかと思っていたけど、店が燃えてしまい、継ぐ人もいないので廃業を決めました。年齢も年齢なのでしょうがないと諦めています」と話していました。

輪島市によりますと、高齢化などで「輪島塗」の担い手は最盛期のおよそ半分に減っているということで、職人の間では地震が担い手の減少に拍車をかけないか懸念する声があがっています。