「マニラ市街戦」追悼 市民約10万人が犠牲 遺族「忘れないで」

太平洋戦争末期にフィリピンの首都マニラで旧日本軍とアメリカ軍による市街戦が始まってから3日で79年となる中、現地ではおよそ10万人の犠牲者を追悼する式典が開かれ、参列した遺族が「犠牲者のことを忘れないでほしい」と呼びかけました。

マニラ市の旧市街にある「マニラ市街戦」の慰霊碑の前では、3日、犠牲者の遺族や学生などおよそ200人が集まり追悼式典が開かれました。

フィリピンでは太平洋戦争末期の1945年2月3日から、マニラ市内を占領していた旧日本軍とアメリカ軍の間で1か月にわたる激しい市街戦が繰り広げられました。

フィリピン当局はおよそ10万人の市民が戦闘に巻き込まれたり旧日本軍に殺害されたりして死亡したとしていますが、犠牲者は戦闘終結後に集団で葬られるなどしたため詳しい身元の特定はいまも進んでいません。

式典では3人の家族を失った男性が慰霊碑に花輪を手向けたあと、「生き残った家族の多くは、殺された状況や戦闘が長引いたために犠牲となった肉親を見つけられなかった」と遺族を代表してあいさつしました。

式典に参加した19歳の女子学生は、「恐ろしいし、怖いです。同じことを繰り返さないためにも歴史を忘れてはならない」と話しました。

式典のあと遺族の代表の男性は「犠牲者のことを忘れないでほしい。彼らのことを記憶にとどめて、このようなことが2度と起こらないようにしてほしい」と話しました。