災害関連死防止へ「専門家による多種多様なサポートが必要」

能登半島地震から1か月がたちましたが、引き続き避難生活による体調の悪化などが原因で亡くなる「災害関連死」の対策が必要です。

被災地ではエコノミークラス症候群や肺炎などを防ぐ取り組みが進められていますが過去の災害では精神的なストレスが原因で亡くなるケースも相次いでいて、専門家は「被災者の悩みを把握するだけでなく、問題の解決に向けた専門家による多種多様なサポートが必要だ」と指摘しています。

災害関連死に詳しい在間文康弁護士によりますと、地震から1か月が過ぎたこれからは肺炎や低体温症、エコノミークラス症候群などの対策に加えて、精神的なケアがいっそう重要になるといいます。

避難所から仮設住宅などに移ることで生活環境がよくなる一方、環境の変化が被災者にとっては負担となるケースが多いとしています。

例えば避難所では気が張り詰めていて不快に感じていなかった周囲の生活音が仮設住宅ではストレスに感じ始める、とか少し落ち着いた暮らしのなかで生活の再建を考え始めると、将来への不安が高まって強いストレスを感じるといった事例があるということです。

過去の災害では災害の発生から時間が経過したあとに、環境の変化による精神的なストレスがもとで亡くなるケースが相次いでいます。

ストレスは高血圧の原因となるなど体に不調をきたすほか、蓄積することで精神疾患を発症するおそれがあり、被災者の見守り態勢を充実させた長期的な支援が求められるとしています。

在間弁護士は「被災者の相談に乗ったり見守ったりする態勢の充実が今後の鍵となるが、行政の福祉職員だけでは絶対的に人手が不足するのでNPOやボランティアの活用が重要になってくる」と話していました。

その上で「被災者の悩みや要望を把握することも大切だが、精神的ストレスをなくすにはその先の解決策がなければいけない。被災者ひとりひとりの問題解決にむけて、医療だけではく法律や行政の専門家など、多種多様な機関が関わってサポートしていくことまで考える必要がある」と指摘しています。