【詳細】イスラエルが戦闘休止と人質解放で提案か(2月2日)

イスラエル軍とイスラム組織ハマスの間の戦闘休止と人質解放をめぐる交渉について、ロイター通信は、イスラエル側が40日の戦闘休止と引き換えに民間人の人質の解放を目指していると伝えました。

一方、ハマス側は提案に返答をしていない模様で、慎重に対応の検討を進めているとみられます。

※イスラエルやパレスチナに関する日本時間2月2日の動きを、随時更新してお伝えします。

イスラエルのガラント国防相 ラファにも攻勢強める考え

イスラエル軍はガザ地区での激しい攻撃を続けていて、1日までの死者は2万7000人を上回っています。

こうした中、イスラエルのガラント国防相は1日、南部ハンユニスでの作戦の目標は達成しつつあるとの認識を示したうえで、さらに南のラファにも攻勢を強める考えを示しました。

OCHA=国連人道問題調整事務所によりますと、ラファにはイスラエル軍の攻撃を受けて多くの避難民が逃れていて、100万人以上が暮らしているということです。

イスラエル 戦闘休止と引き換えに民間人の人質解放を提案か

一方、イスラエル軍とハマスの間の戦闘休止と人質解放をめぐる交渉について、ロイター通信は2日、交渉の状況に詳しいパレスチナ当局者の話として、イスラエル側は40日の戦闘休止と引き換えにハマス側が兵士を除く民間人の人質を解放し、その後、兵士と死亡した人質の遺体を引き渡すことを目指していると伝えました。

今回の交渉をめぐっては、アメリカの有力紙がまだ最低限の枠組みだけが議論されている段階だと伝えていますが、ロイター通信は、ハマスが人質の解放後に戦闘が再開されないという保証を求めるとの見方も伝えています。

ハマス側の幹部は1日、アルジャジーラに対して「まだ返答しておらず検討中だ」として慎重に検討を重ねているとみられ、交渉がまとまるには時間がかかる可能性もあります。

イスラエル ガラント国防相「ラファにも到達 テロ勢力排除」

イスラエルのガラント国防相は1日、ハマスの重要な拠点があるとして包囲している南部ハンユニスの部隊を視察し「ハンユニスでの目標は達成しつつある。われわれはラファにも到達し脅威となるテロ勢力を排除する」と述べ、ガザ地区南部への攻勢をさらに強める姿勢を示しました。

そのうえで「地上と地下でのテロリストを標的にした軍事作戦によって人質の解放が近づいている」と述べ、軍事作戦の継続が人質の解放につながるという立場を改めて強調しました。

こうした状況の中、けがをした子どもたちやその家族らが治療を受けるためにガザ地区南部のラファの検問所からエジプト北部の空港に出て、カタールに向け出発する姿も見られます。

けがをした娘に付き添う女性は「ガザ北部から南部への道のりは検問所を通過するだけでも、とても悲惨だった」とガザ地区での厳しい状況を振り返っていました。

ガザ地区支援の国連機関UNRWA 資金支援停止で活動停止か

ガザ地区の支援を担っているUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関をめぐっては、複数の職員がイスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃に関与した疑いが出たことで、日本を含む主要な資金拠出国が相次いで支援の停止を表明しています。

UNRWAは1日、声明を発表し、これまでにあわせて4億4000万ドル、日本円にしておよそ645億円の支援が停止され、2月中には活動を停止せざるを得なくなる可能性が高いとしています。

声明でラザリーニ事務局長は「われわれは世界で最も厳しく複雑な人道危機の1つにおいて、最大の援助組織であり続ける。資金援助がこれ以上滞れば今月中にはガザだけでなく中東全体で活動を停止せざるを得なくなる可能性が高い」として、強い危機感を示しています。

ハマス“交渉 検討重ねる” ヒズボラ幹部「抵抗続ける」

イスラエル軍は1日もガザ地区への攻撃を続けていて、ガザ地区の保健当局は、これまでの死者が2万7019人にのぼったとしています。

イスラエルと、仲介にあたっているカタールなどは、戦闘の休止と引き換えにハマスが人質を段階的に解放することを提案しており、中東の衛星テレビ局アルジャジーラは1日、この提案についてハマス幹部が「まだ返答しておらず検討中だ」と発言したと伝えました。

一方で、イスラエルと隣国レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの戦闘も続いていて、イスラエル軍は1日もヒズボラの拠点を攻撃したと明らかにしました。

イスラエルメディアはガラント国防相が今週、「まもなく軍は行動を開始し、北部の部隊は増強される」と述べたと伝えていて、レバノンとの国境でも緊張が高まっています。

こうした中、ヒズボラの政治部門の幹部を務めるハサン議員が1日、レバノンの首都ベイルートでNHKの取材に応じ「イスラエルはガザで何ら成果をあげられず、敗北に向かっている。ヒズボラの攻撃でイスラエル軍の基地などを破壊し、経済的被害を与えている」として、攻撃の成果を強調しました。

そのうえで「ガザへの攻撃が終わらないかぎり、われわれは抵抗を続ける」と述べ、ヒズボラとしても徹底抗戦の姿勢を貫くと強調しました。