東京「自由が丘」人気の街も建物老朽化で駅前の再開発本格化へ

都内各地で再開発が進む中、おしゃれな街として人気を集めてきた目黒区の「自由が丘」で、長年、懸案とされてきた駅前の再開発事業が来年度、本格化することになりました。

東京 目黒区の「自由が丘」は東急東横線と大井町線の駅があり、周辺には個性的な店が建ち並ぶ人気の街です。

しかし、建物の老朽化などにより、再開発した都心の街と比べて相対的に存在感が低下してきたことへの危機感から、地元の商店主らが中心となり、来年度、駅前の再開発を本格化することになりました。

計画では住居や商業施設などが入る高さ60メートルほどのビルを建てるとしています。

さらに、大きな魅力となっている街歩きがしやすくなるよう、道路を拡幅したり、鉄道の立体化を検討したりするとしています。

事業の主体は商店主たちですが、目黒区は新築工事への補助や道路整備などの費用として合わせて34億8000万円余りを新年度予算案に計上する方針です。

目黒区は「都市間の競争は激しく、今後も皆さんに選ばれる自由が丘であるよう、行政としてもしっかり支援していきたい」としています。

再開発に 街の人は

「自由が丘」の再開発について駅前で聞きました。

隣の世田谷区在住の30代の女性は「古い建物だと段差もあって、ベビーカーだとちょっと困りますね。道も狭くて怖いなと思います。開発された二子玉川は子どもと一緒でも安心なので、そちらに行くことも多いです。再開発で、よりきれいな街になってほしいです」と話していました。

自由が丘在住の20代の男性は「ケーキの店が一時的に移転しているので、寂しい気持ちもありますが、完成したら戻ってきてくれると思って楽しみにしています。武蔵小杉や渋谷とは違う、自由が丘のよさを残しつつ、どんどんよくなることを期待します」と話していました。

生まれてから周辺に住んでいるという60代の女性は「ナチュラルでおしゃれ、肩ひじ張らないで過ごせるのが自由が丘の良さだと思うので、刺激ではなく、心地よさを追求してほしいです」と話していました。

◇周辺の街の再開発が計画進めるきっかけに

自由が丘駅前の再開発は10年以上前から議論が続けられてきました。

駅前で3代にわたって精米店を営んできた「自由が丘商店街振興組合」の原武理事長は「5、60年も前に建てられたビルがほとんどで、老朽化は私たちオーナーにとって、防災上、とても心配でした。この悩みはみんな一緒だということから、再開発計画を進めることになりました」と振り返ります。

また、二子玉川や武蔵小杉など、周辺の街が次々と再開発したことも計画を進めるきっかけになったといいます。

そのうえで、「歩道が狭くて歩きづらいとか、開かない踏切があるといった街の課題が少しでも早く解消できればと思います。商業的にちょっと元気がなくなってきた街を活性化させることで、自由が丘という名前がいつまでも皆さんに知れ渡るような街であってほしい。新しく変わっていくことが未来につながっていくという期待はあります」と話していました。

「住みたい街ランキング」かつては上位の常連も

「自由が丘」は住宅情報サイトが毎年、調査している「住みたい街ランキング」の首都圏版で、かつては上位の常連でした。

ところが、去年は24位にまで落ち込んでいます。地元の商店街や区議会などからも、都心や周辺の二子玉川や武蔵小杉などで大規模な再開発が行われたことで、相対的に存在感が低下しているという意見が出ています。