【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(2月1日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる1日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

EU大統領 “ウクライナへの8兆円規模の資金支援で合意”

EU=ヨーロッパ連合のミシェル大統領は1日にベルギーで開いた首脳会議で、ウクライナへの日本円で8兆円規模の巨額の資金支援をめぐって、ハンガリーも含め、27すべての加盟国が合意したとSNSに投稿しました。

ウクライナへの支援をめぐっては、ハンガリーが反対の姿勢を示してきましたが、首脳会議に先立ってミシェル大統領はフランスやドイツの首脳も交えてハンガリーのオルバン首相と協議し、説得したものとみられます。

ゼレンスキー大統領が謝意「EUの結束の強さ証明」

ウクライナへの巨額の資金支援についてEUの首脳会議で合意したことを受けて、ゼレンスキー大統領は自身のSNSに投稿し、「この決定が27か国すべての首脳によって行われたことは非常に重要で、EUの結束の強さを改めて証明するものだ」と謝意を示しました。

そのうえで、「ウクライナに対するEUの財政支援の継続は長期にわたって経済と財政の安定を強化するもので、軍事支援やロシアに対する制裁と同様に重要だ」としています。

プーチン大統領 ウクライナ側の東部拠点で攻勢強める姿勢

ロシアのプーチン大統領はウクライナ側の東部の拠点、アウディーイウカについて、最も重要な戦闘地域だとして、攻勢を強めていく姿勢を示しました。

一方、ウクライナ軍はロシアが支配する南部クリミアの飛行場をミサイルで攻撃したとして揺さぶりを続けています。

ロシアのプーチン大統領は先月31日、モスクワで行った演説で、「現在、戦闘が続いている最も重要な地域の1つがアウディーイウカだ。敵の防御を突破して郊外に到達した」と述べ、東部ドネツク州のウクライナ側の拠点、アウディーイウカで攻勢を強めていく姿勢を示しました。

ウクライナ軍の参謀本部は1日、「敵はアウディーイウカを包囲しようとしていて、われわれは断固として守っている」と発表し、激しい攻防が続いているとみられます。

一方、ロシア国防省は31日、ウクライナ側が20発のミサイルで攻撃したのに対して、黒海の上空や支配しているウクライナ南部クリミアの上空で迎撃したと発表しました。

ロシアの独立系メディアは南部クリミアの軍港都市セバストポリの郊外にあるベリベク飛行場が攻撃を受けたなどと伝え、ウクライナ空軍のオレシチュク司令官は31日、ウクライナ側の攻撃で飛行場で火災が起きたとする映像をSNSに投稿しました。

ウクライナ軍は先月、クリミアにある別の飛行場にもミサイル攻撃を行うなど、領土奪還を掲げるクリミアやロシア軍の黒海艦隊を標的にして揺さぶりを続けています。

プーチン批判のナデジディン元下院議員 立候補の手続き済ませる

3月に行われるロシアの大統領選挙に向けて、プーチン大統領を批判するナデジディン元下院議員が31日、立候補に必要な有権者の署名を提出するなど手続きを済ませました。プーチン氏に対抗する候補者になるか注目されていて、今後、政権側から立候補を認められるかが焦点となっています。

3月に行われるロシアの大統領選挙では、プーチン大統領などあわせて4人が有権者の署名を提出するなど必要な手続きを終え、すでに立候補が認められています。

プーチン大統領は31日、陣営幹部など支持者たちの集会に出席し、「長年の多くの協力に感謝したい。ロシアは困難で重要な時期を経験している」と述べたうえで、ウクライナ侵攻に参加する兵士たちをたたえ、侵攻を続ける姿勢を改めて強調しました。

一方、軍事侵攻も含めてプーチン大統領を批判しているボリス・ナデジディン元下院議員が、署名提出の期限となっている31日、モスクワにある中央選挙管理委員会を訪れ、10万人以上の有権者の署名を提出するなど必要な手続きを済ませました。

ナデジディン氏はプーチン氏に対抗する候補者になるか注目されていて、選挙管理委員会の会場には多くのメディアが取材に訪れました。

ナデジディン氏は記者団に対し、「ロシアの各地で私のために署名してくれた多くの人々に感謝したい」と述べました。

選挙では通算5期目となるプーチン氏の当選が確実視されています。

選挙管理委員会がナデジディン氏側に手続き上の不備があったなどと指摘する可能性もあり、今後、政権側から立候補を認められるかが焦点となっています。

プーチン大統領「米パトリオットで撃墜」捕虜交換も

ロシアのプーチン大統領は、先月24日にウクライナとの国境に近いロシア西部のベルゴロド州で起きたロシア軍の輸送機の墜落について31日、支持者との集会で、「アメリカの地対空ミサイルシステムパトリオットで撃墜されたことが明らかになった」と述べ、アメリカから武器の供与を受けたウクライナ軍によって撃墜されたという見方を示しました。

その上で、「国際調査団を派遣し、パトリオットで撃墜されたことを示す物的証拠を調べるよう求める」と述べました。

輸送機の墜落について、これまで、ロシア側がウクライナによる撃墜で捕虜交換のため搭乗していたウクライナ軍の兵士65人が死亡したと主張したのに対し、ウクライナ側は墜落への関与については明言しておらず、国際的な調査の実施を求めていました。

一方、31日、ウクライナとロシアの間で輸送機の墜落後、初めてとなる捕虜交換が行われました。

ウクライナのゼレンスキー大統領はビデオ演説で、今回解放されたのは207人で、半数近くはおととし掌握された東部ドネツク州の激戦地マリウポリを防衛していたと明らかにし、「解放がうまくいっていることを喜ばしく思う」と述べました。

今回の交換は50回目にあたり、これまでにウクライナ側の3035人が解放されたということです。

プーチン大統領は31日、交換を止めない考えを示していて、今後も捕虜の交換は続くとみられます。