【詳細】戦闘休止と人質解放 交渉の進展は見通せず(1日)

イスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が続く中、戦闘の休止と人質の解放に向けた交渉が進められていますが、イスラエルのネタニヤフ首相はハマスを壊滅させるという目標に関しては一切妥協しない姿勢を改めて強調し、交渉の進展は見通せない状況が続いています。

※イスラエルやパレスチナに関する日本時間2月1日の動きを、随時更新してお伝えします。

ネタニヤフ首相 ハマス壊滅という目標に一切妥協しない姿勢

イスラエル軍は、ハマスの重要拠点があるとするガザ地区南部のハンユニスなどで軍事作戦を続けていて、1日もハマスの戦闘員を殺害したり、ミサイルの発射台を破壊したりしたと発表しました。

ハンユニスに本部を置くパレスチナ赤新月社は31日、SNSでの投稿で、現地の病院では爆撃と銃撃の中でけが人の治療を続けているものの、赤新月社の職員も攻撃に巻き込まれて犠牲になるケースが出ていると訴えています。

ガザ地区の保健当局は、これまでにイスラエル軍の攻撃で2万6900人が死亡したとしています。

イスラエルのネタニヤフ首相は31日、カタールやエジプトの仲介で進められている戦闘の休止と人質の解放に向けた交渉についてビデオ声明を発表し「努力している」としながらも「われわれは、ハマスとの戦争はやめないし、部隊を撤退させることもない」と述べ、ハマスを壊滅させるという目標に関しては一切妥協しない姿勢を改めて強調しました。

交渉では、ハマス側が人質解放の条件として完全な停戦とイスラエル軍のガザ地区からの撤退を求めていると伝えられていますが、交渉の進展は見通せない状況が続いています。

戦闘休止と人質解放 交渉結実に時間かかるか

パレスチナのガザ地区で、イスラエル軍とイスラム組織ハマスとの戦闘が続く中、カタールなどの仲介で戦闘の休止と人質の解放に向けた交渉が行われていますが、アメリカのメディアは「現在話し合われているのはまだ最低限の枠組みだけだ」と伝えていて、交渉がまとまるにはなお時間がかかるとの見方も出ています。

イスラエル軍は、31日もハマスの重要な拠点があるとするガザ地区南部のハンユニスなどで軍事作戦を続けていて、地上部隊が市街地に展開しロケット弾などを製造していた施設や、地下トンネルなどを破壊したと発表しました。

ハンユニスにある病院には、けが人や病人のほか、多くの住民も避難してきていますが、ガザ地区の保健当局は、周辺で激しい戦闘が続く中、病院内に蓄えてあった食料が底をつき人々の命が脅かされていると訴えています。

また保健当局は、イスラエル軍の攻撃で、これまでに2万6900人が死亡したとしています。

こうした中、カタールやエジプトの仲介で、進められている交渉で、イスラエル側はこれまでに戦闘の休止と人質の段階的な解放に向け、大枠で同意したと伝えられ現在はハマス側が、エジプトなどと協議を行っているとみられています。

これについてアメリカの有力紙ワシントン・ポストは、30日付けの記事で、交渉に関わる関係者の話として現在の交渉では、戦闘休止期間中にハマス側にとらわれている民間人の人質をすべて解放することや、それと引き換えに、その3倍の数のパレスチナ人をイスラエル側が釈放することなど、まだ最低限の枠組みだけが議論されている段階だと伝えています。

そのうえで、詳細を詰めていく中で双方が同意できないことが出てくるのは確実だとの見方を伝えていて、交渉が実を結ぶにはなお時間がかかるとの観測も出てきています。

ネタニヤフ首相 “国際社会はUNRWAの役割終わったと認識を”

イスラエルのネタニヤフ首相は31日、東欧などの国連大使団と面会し、パレスチナのガザ地区で活動する国連機関のスタッフがイスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃に関与した疑いが出たことについて「役割は終わった」と述べ、この機関の解体を求めました。

ガザ地区では、31日も南部ハンユニスなどでイスラエル軍による攻撃が続き、パレスチナ赤新月社はハンユニスのアマル病院に複数の死傷者が搬送されたとしています。

ガザ地区の保健当局はアマル病院などでは蓄えてあった食べ物が底をつき、人びとの命が脅かされていると訴えていて、イスラエル軍の攻撃によりこれまでに2万6900人が死亡したとしています。

こうした中、ガザ地区の支援を担っている国連機関、UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関のスタッフが、去年10月のハマスによるイスラエルへの攻撃に関与した疑いが出たことを受けて、UNRWAへの資金拠出の一時的な停止を表明する国が相次いでいます。

イスラエルのネタニヤフ首相は31日、エルサレムで東欧などの国連大使団と面会し、「国際社会と国連は、UNRWAの役割が終わったと認識するときがきた。ガザの問題を解決するには別の援助機関が必要だ」として組織の解体を求めました。

一方、アメリカ国務省の高官は31日、ブリンケン国務長官が近くイスラエルや周辺国などを訪問することを明らかにしました。

今回の訪問ではアメリカやカタールなどの仲介で行われているイスラエルとハマスの間での人質の解放と戦闘休止に向けた交渉などについて協議するものとみられます。

ブリンケン長官が中東を訪問するのは去年10月にイスラエルとハマスの衝突が始まって以降5回目です。

UNRWAへの資金拠出停止表明 NGOなど政府に撤回求める

パレスチナのガザ地区で活動する国連機関の職員がイスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃に関与した疑いを受けて日本を含む各国から資金拠出の一時的な停止の表明が相次ぐ中、日本のNGOなどが会見を開き「ガザの人々の命を奪うことに等しい行為だ」などとして、政府に撤回を求めました。

UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関の複数の職員が、ハマスによるイスラエルへの攻撃に関与した疑いをめぐり、日本政府は先月28日「極めて憂慮している」として追加の資金拠出を一時的に停止すると発表しました。

これについて、現地で支援活動にあたるNGOなどが「ガザの人々の命を奪うことに等しい行為だ」などとして、撤回を求める要請文を外務省に提出するとともに1日、都内で記者会見を開きました。

会見で、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの金子由佳さんは「UNRWAはガザ地区の教育や医療を担い、今は避難所の運営も行っている。UNRWAが機能しなくなるとNGOも包括的な活動ができなくなってしまう」と説明しました。

そのうえで「UNRWAの活動の先には子どもたちがいることを考えると、あまりに極端で公平性に欠ける判断だ」と訴え、政府に即時撤回を求めました。

今回の疑惑を受けて、アメリカやドイツなども資金拠出の一時停止を表明していますが、ノルウェーは支援の継続を表明するなど各国の間で判断が分かれています。