京アニ放火殺人事件 面会の遺族に被告が謝罪 控訴した理由話す

「京都アニメーション」のスタジオに放火し、社員36人を殺害したなどとして、京都地方裁判所で死刑が言い渡された青葉真司被告に、妻を亡くした遺族が拘置所で面会しました。遺族によりますと、改めて謝罪を受けた一方、被告は控訴した理由について「発信したいことがあった」などと、話したということです。

青葉真司被告(45)は、2019年7月、京都市伏見区の「京都アニメーション」の第1スタジオに火をつけ、社員36人を殺害した罪などに問われ、今月25日、京都地方裁判所で死刑判決が言い渡されました。

これに対し、被告の弁護士は大阪高等裁判所に控訴しています。

青葉被告と面会したのは、事件で亡くなったアニメーター、池田晶子さん(当時44)、本名、寺脇晶子さんの夫です。

夫は裁判で被害者参加制度を利用して被告に質問しましたが被告が答えない場面があり、本音が聞きたいと、29日と30日の2日間、大阪拘置所で被告と合わせて40分間面会しました。

夫によりますと「妻がいないことがさびしく、子どもが残されてしまった」と伝えた際には、被告はテーブルに手をつき、頭を下げながら「申し訳ない」と何度も謝罪したということです。

また、事件を起こした一番の理由を尋ねたところ「小説を作ってあえて京アニに応募したのに裏切られた」などと、答えたということです。

一方で、どのような状況だったら事件を起こさなかったか聞くと「ネット上に投稿した自分の小説に読者がいたら小説を書き続けていたと思う」などと、話したということです。

さらに、控訴の理由については「精神鑑定ですべて妄想だとされたことについて、発信したいことがあった」などと、話したということです。

面会後、各社の取材に答えた夫は「被告は妻に対しては3回頭を下げ、子どもに対しても複数回『本当に申し訳ない』と話したので、反省と謝罪があったのは少しはましかなと思いました。しかし、会話はかみあわないところもあり、被告の考えは稚拙だと改めて感じました。『京アニに裏切られた』という動機はあまりにも身勝手だし、お門違いだと思いました」と話していました。