ウクライナ穀物輸出量“黒海防衛強化でほぼ軍事侵攻前水準に”

ロシアによる軍事侵攻で深刻な影響が続いてきたウクライナ産の穀物などの輸出は輸送路の黒海での防衛が強化された結果、軍事侵攻前の水準まで回復しつつあるとウクライナの業界団体が明らかにしました。

世界有数の穀物輸出国として知られるウクライナからの穀物輸出は、ロシアによる軍事侵攻後、黒海を通じたルートが制限され、世界の食料供給にも深刻な影響を与えてきました。

軍事侵攻の開始から2月で2年となるのを前に30日、業界団体の「ウクライナ穀物協会」が首都キーウで会見し、去年12月の穀物などの輸出量がおよそ598万トンにのぼったと明らかにしました。

これは、去年7月にロシアが黒海を通じた輸出をめぐる合意の履行を停止して以降、最も多く、輸出量全体では軍事侵攻前の水準まで回復しつつあるということです。

その背景についてウクライナ穀物協会は、輸出ルートにあたる黒海の西側での防衛が強化されたことなどをあげています。

一方、ウクライナから輸出される穀物などのおよそ40%は紅海を経由してアジアに輸出されているということで、イエメンの反政府勢力フーシ派が紅海などで船舶への攻撃を繰り返していることから、今後の安定的な輸出には懸念もあるとしています。

会見に同席したソリスキー農業食料相は「紅海での問題が影響し今月の輸出量は減るだろう。ほかの国と同様、事態が収束するのを待ちたい」と話していました。