ユース五輪 フィギュアスケート 島田麻央が金メダル獲得

韓国で開かれているユースオリンピックのフィギュアスケート女子シングルで、日本の次世代のエースとして期待されている15歳の島田麻央選手が金メダルを獲得しました。16歳の高木謠選手も銅メダルを獲得し、日本勢2人が表彰台に上がりました。

女子シングル 島田麻央が金メダル 高木謠も銅メダル

カンウォンユースオリンピックは30日、フィギュアスケート女子シングル後半のフリーが行われ、日本からは前半でトップに立った島田選手と2位で続く高木選手の2人が出場しました。

先に登場した島田選手は冒頭のトリプルアクセルでわずかな回転不足をとられたうえ出場選手でただ1人挑戦した続く4回転ジャンプは回りきれずに転倒し、減点されました。

その後は、回転不足をとられるジャンプもありましたが、難度の高い構成の中、基礎点の上がる後半の3つのジャンプのうち3回転ループと3回転ルッツはなめらかに決めて出来栄え点も加点されました。

さらに3つのスピンはすべて最高評価を獲得し、島田選手はフリーでも全体トップの125.94、合計196.99で金メダルを獲得しました。

ユースオリンピックのフィギュアスケート女子シングルで日本の選手が金メダルを獲得するのは初めてです。

一方、高木選手は、冒頭から立て続けに得点源とする連続ジャンプを決めて出来栄え点でも加点されるなど自己ベストを更新したショートプログラムに続き安定した演技を見せました。

フリーの得点は115.97、合計では183.20で3位となり銅メダルを獲得し、日本勢2人が表彰台に上りました。

島田麻央「この経験を五輪に行くための第一歩に」

金メダルを獲得した15歳の島田麻央選手は「今回のような経験ができたことはすごくよかった。この経験をオリンピックに行くための第一歩としてもっといい演技ができるように頑張りたい」と大会を振り返りました。

韓国で行われているユースオリンピックでフィギュアスケートの人気は群を抜いて高く、会場の「カンヌンアイスアリーナ」は平日の日中にも関わらずのべ1万3000人余りの観客が詰めかけました。

島田選手の直前に滑った地元、韓国の選手が大きなミスがない演技を見せると観客が大きく湧いてユースの大会とは思えないような興奮に包まれ、島田選手は「想像していた何倍も何倍も歓声がすごくとてもいい演技をしたことが伝わってきた」と話すなど、これまでにない緊張感の中で演技に臨んだことを明かしました。

そうした中でも島田選手は、出場選手でただ1人挑んだ4回転ジャンプでの転倒こそあったものの難度の高い構成の演技を最後までしっかりと滑りきり、前半のショートプログラムに続き後半のフリーでも全体トップの得点を獲得して金メダルを獲得し、見事、プレッシャーに打ち勝ちました。

島田選手は「滑る前は緊張に飲まれているように感じていたがその中でも楽しめたことは自分でもびっくりしている。練習してきたことをしっかり出すことができたのはすごくよかった」と振り返りました。

監督を務めた日本フィギュアスケート連盟の竹内洋輔強化部長も「勝ち切れたのは大きな成果だ。会場の雰囲気などオリンピックを目指す上で今後の競技人生で起こりうる未来をイメージできたことは必ずつながっていく」と期待を膨らませました。

島田選手は年齢制限のため2年後、イタリアで行われる冬のオリンピックに出場することができません。それでも6年後は必ず出場すると誓う夢の舞台に向けて「今回のような経験ができたことはすごくよかった。この経験をオリンピックに行くための第一歩としてもっといい演技ができるように頑張りたい」と意気込んでいました。

日本の次世代のエースとして期待される島田麻央選手にとって、今回のユースオリンピックは未来の自身の姿をイメージする絶好の機会となりました。

◆島田麻央(しまだ・まお)選手 名前の由来は…

島田麻央選手は、東京出身の15歳。名前の由来は2010年のバンクーバーオリンピックのフィギュアスケートで銀メダルを獲得した浅田真央さんです。5歳からフィギュアスケートを始め、現在は京都に拠点を置いて数多くのトップ選手を育成してきた実績のある濱田美栄コーチから指導を受けています。

シニア選手顔負けの高難度のジャンプを持ち味として早くから国際大会で活躍し、去年の世界ジュニア選手権では浅田真央さんが持っていた日本選手の最年少記録を更新する14歳4か月で優勝しました。

また、今シーズンのジュニアのグランプリファイナルでは日本の女子選手として初めてトリプルアクセルと4回転トーループを1つのプログラムの中で決め、大会を連覇するなどジュニアの世界大会ではいまだに負けなしです。

年齢制限のため2026年の冬のオリンピックには出場できませんが、将来はオリンピックの金メダル候補としても期待されています。

高木謠「今できることをすべてを出しきれた」

銅メダルを獲得した高木謠選手は「表彰台はすごく感動した。表彰台を目指していたが簡単ではないと思っていた中で今自分ができることをすべてを出しきれて銅メダルを獲得できてすごくうれしい」と笑顔で話しました。

そのうえで「ショートプログラムでは自己ベストを出すことができたがきょうのフリーでは後半のジャンプでミスが出てまだまだ体力をつけないといけないと思った。もっともっと練習をしてシニアでオリンピックに出場できるように頑張りたい」と話していました。

◆高木謠(たかぎ・よう)選手 飛躍のシーズンに

高木謠選手は東京出身の16歳、高校1年生です。5歳の時に遊びで滑ったスケートの魅力に惹かれ競技を始め、現在は千葉県船橋市のスケートリンクで、この大会の男子シングルで5位だった中田璃士選手などとともに練習に励んでいます。

これまで大きな実績はありませんでしたが、今シーズンはジュニアのグランプリシリーズ2戦でいずれも上位に入り、将来性を見込まれて派遣された今大会では銅メダルを獲得し飛躍のシーズンになりました。