能登半島地震 長期化する避難生活に支援の動き

能登半島地震が発生してまもなく1か月。避難が長期化する中、石川県で避難生活を送る人たちに、全国各地から支援が寄せられています。

断水続く輪島市に 宮崎からランドリー車

今回の能登半島地震でほぼ全域で断水が続く石川県輪島市。支援にあたる移動式のランドリー車には、被災した人が洗濯をしようと次々に訪れています。

地震で大きな被害を受けた輪島市は、ほぼ全域で断水が続いていて、仮復旧の見込みは2月末以降とされています。

こうした中、輪島市門前町道下では、宮崎市の会社が開発した移動式の災害用ランドリー車が28日から支援にあたっています。

ランドリー車はトレーラーの荷台部分に、衣類などを洗って乾燥できる6台の大型洗濯乾燥機が備え付けられています。

整理券が配られる午前9時半ごろ、ランドリー車の前にはかごいっぱいに洗濯物を詰めた人たちなどおよそ30人が列をつくりました。

洗濯と乾燥が終わるまであわせて1時間ほどかかるため、利用した人はいったんその場から離れて別の用事などを済ませていました。

洗濯に訪れた輪島市の33歳の男性は、「インターネットでランドリー車の稼働を知って来ました。自宅は断水が続いていて、およそ1か月ぶりの洗濯ができることになったので、とてもありがたくうれしいです」と話していました。

支援をする「WASHハウス」の宇和田哲郎総務課長は、「利用者の方と話をすると、衛生面にも関わる洗濯の必要性を強く実感する。およそ1時間で洗濯から乾燥までできるので多くの人に利用いただきたい」と話していました。

このランドリー車の支援は、2月25日まで行われ、午前9時半から配られる整理券を受け取れば、誰でも無料で利用できます。

七尾市の避難所に 群馬から災害用ベッド寄贈

石川県七尾市の避難所では、生活の改善につなげてもらおうと、ベッドが届けられました。

市内のほぼ全域で断水が続いている七尾市にある和倉小学校では、住民およそ70人が避難生活を送っています。

30日は、群馬県にある会社から、災害時に使えるベッド22台が届けられました。

贈られたベッドはスチール製で、背もたれの部分を起こしたり倒したりすることで、ベンチや机としても使うことができます。

この避難所では、先週、段ボールベッドが届けられましたが、それ以前は、避難している人が床に布団を敷いて寝る状況が続いていたということで、住民が早速贈られたベッドの使い心地を試していました。

ベッドを寄贈した丸橋鉄工の丸橋雄太・専務は、「喜んでいただけてよかったです。ベッドやベンチなどその時々に合った使い方をしていただければと思います」と話していました。

七尾市企画政策課の宮下淳さんは、「高齢の方の中には、床で寝ると立ち上がるのが難しい人もいるので、ベッドがあるとすごく助かります」と話していました。

集団避難の中学生に 静岡県藤枝市から支援物資とメッセージ

石川県輪島市から白山市に集団避難している中学生に、白山市と交流がある自治体から支援物資や励ましのメッセージが届けられました。

輪島市は1月17日に希望する中学生に白山市の施設に集団避難してもらっていて、このうち半数のおよそ100人が生活している施設には、30日午後5時すぎ、食品などの支援物資を乗せたトラックが到着しました。

支援物資は、白山市と以前から交流がある静岡県藤枝市から送られ、中学生3人とともに出迎えた輪島市の東陽中学校の小畠康志校長が、「子どもたちは、ひとつの大きな経験として前に進んでくれると思います。ご支援ありがとうございます」とあいさつしました。

届けられたものの中には、支援物資に加えて藤枝市の中学生から輪島市の中学生に向けた励ましのメッセージも含まれ、「日常生活が戻るまで一緒に頑張りましょう」とか「頑張る姿に私も背中を押されています」などと書かれていました。

輪島中学校3年生の生徒は、「みんなが支援してくれて、本当にありがたいです。メッセージを見て、今後の入試も頑張ろうと思いました」と話していました。

福井県勝山市 輪島の福祉避難所から高齢者を受け入れ

福井県勝山市は、能登半島地震で被災し、石川県輪島市の福祉避難所に身を寄せている高齢者を受け入れることになり、30日から6人が勝山市内の福祉避難所に入りました。

輪島市では、介護などが必要な人も含めて高齢者が避難する市内唯一の福祉避難所で現在も断水が続いています。

勝山市は、この福祉避難所の運営を手伝っている医療法人からの要請を受けて、輪島市の福祉避難所の高齢者の受け入れを30日から始めました。

午後2時に自衛隊の車両で75歳から100歳までの男女6人が、勝山市の施設内に設けられた福祉避難所に到着しました。

高齢者たちは、輪島市から5時間かけて来たということで、最初は疲れた様子でしたが、避難所に入ってからは、時折、笑顔も見せて用意された昼食を食べていました。

妻と一緒に避難してきた80歳の男性は、「水と電気がこないと生活ができないので。こちらに来て安心しています」と話していました。

この福祉避難所では、日中は看護師と介護士の2人が常駐し、勝山市も必要に応じて介護用ベッドなどの支援を行うことにしていて、最大40人程度の受け入れが可能ということです。

今回の受け入れを仲介した勝山オレンジクリニックの池口亮院長は、「こちらは水が使えるので、安心感が増えればいいと思う。高齢者の方々の力になれるよう支援していきたい」と話していました。