被災した伝統工芸「珠洲焼」の工房 “やめる訳には” 再建決意

能登半島地震では、伝統工芸品「珠洲焼」の工房も大きな被害を受けました。おととしと去年の地震でも被害を受けた作家の男性は「やめる訳にはいかない」と再建に向けた決意を示しました。

「珠洲焼」は黒っぽい素朴な色合いが特徴で、石川県が伝統的工芸品に指定しています。

今回の地震で、珠洲焼作家の篠原敬さんの工房では昔ながらのまきを使って作品を焼くレンガづくりの窯が崩れたほか、窯に入れる直前だった作品も壊れてしまいました。

この工房では、おととし6月と去年5月の地震でも被害を受け、ボランティアの手も借りながら再建にこぎ着け、今月20日から再び稼働を始める予定でした。

現在、およそ120キロ離れた野々市市に2次避難している篠原さんは、地震のあと、気持ちが落ち込んでなかなか片付けができませんでしたが、28日から工房の掃除などを始めました。

29日は、地震で壊れて窯で焼くことができなくなった作品をみずからの手で割って、片づけていました。

篠原さんは「おととしや去年の地震の時には、廃業も頭をよぎりましたが、今回は『これで終わってなるものか』と思っています。まきでつくる手法の火を絶やしてはならず、私がやめる訳にはいかないです」と決意を示していました。

篠原さんは、仮設住宅に入ることができ次第、再建に向けた作業を本格化することにしています。