“人種など理由に繰り返し職務質問は差別” 外国出身3人が提訴

人種や肌の色、国籍などを理由に警察官から繰り返し職務質問を受けてきたとして、外国出身の3人が「差別にあたり憲法違反だ」と主張して、国などに賠償を求める訴えを東京地方裁判所に起こしました。

訴えを起こしたのは東京や愛知県などに住む外国出身の男性3人で、29日、代理人の弁護士とともに東京都内で会見を開きました。

訴状などによりますと、3人は日本で日常生活を送る中で繰り返し職務質問を受け、所持品検査をされたり、警察官から「外国の方が運転しているのは珍しい」と言われたりしたということです。

3人は「人種に基づいた差別的な取り扱いで、憲法違反だ」として、国と東京都、愛知県に1人当たり300万円余りの賠償などを求めています。

弁護団が入手した、愛知県警察本部が作成したとみられる若手警察官向けのマニュアルには、「一見して外国人と判明し、日本語を話さない者は、必ず何らかの不法行為があるとの固い信念を持ち、徹底した追及、所持品検査を行う」などという記載があったということです。

人種や肌の色、国籍などを理由に相手を選ぶ職務質問や取り調べは「レイシャルプロファイリング」と呼ばれ、国連の人種差別撤廃委員会が防止のためのガイドライン策定などを各国に勧告するなど、国際的な問題となっています。

原告の1人、日本国籍でパキスタン人の両親を持つ星恵土ゼインさん(26)は、「治安維持のために大事だと思って協力してきたが、1回ではなく10回以上となると、さすがに疑問を持つようになった」と話していました。

代理人を務める浦城知子弁護士は「レイシャルプロファイリングについて社会として考える機会にしたい」と話していました。

警察庁の担当者は「報道は承知しているが、訴状が届いていないのでコメントは差し控える」としています。