地震の土砂災害で崩れた斜面 積雪量多く“雪崩の危険性も”

能登半島地震の被災地の被害状況について、上空から撮影した写真をもとに分析を続けている東京大学の研究者が、石川県珠洲市や輪島市の山間部の状況を確認したところ、土砂災害で崩れた斜面がほかの場所に比べて積雪量が多くなっていることが分かり、今後、雪どけによって雪崩などが発生する危険性があると指摘しました。

東京大学大学院の渡邉英徳教授は、国土地理院が上空から撮影した写真などをもとに被災地の状況を3Dで示す地図などを作成し、被害状況の分析を進めています。

このうち、今月中旬に輪島市と珠洲市の境に広がる山あいの一帯を撮影した写真を分析したところ、地震による土砂災害によって斜面が崩落したとみられる場所がほかの場所に比べて積雪量が多くなっていることが確認されたということです。

斜面の崩落によって樹木がなくなり雪が積もりやすくなったと考えられるということで、被害状況を示した地図上で土砂災害があった場所を赤く表示してみると、同様の状況が珠洲市西部や輪島市東部にかけての広い範囲で見られることが分かったということです。

渡邉教授は「降り積もった大量の雪が暖かくなってとけると集落などもある下流に向かって一気に流れ込む危険性があるではないか」と指摘しました。

そのうえで「その後も雪が降り続いており積雪量はさらに増えていると考えられる。これだけ広範囲の雪が崩れた時にせき止めることは難しく、近くに住む人たちは危険性を認識したうえですぐに避難できる備えをしておく必要がある」と話していました。