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トヨタ 10車種出荷停止 豊田自動織機エンジンで認証取得の不正

トヨタ自動車は、グループの豊田自動織機が生産するディーゼルエンジンで認証取得の不正があったとして、このエンジンの供給を受ける国内向けの6車種を含む合わせて10車種の出荷を停止することを決めました。

発表によりますと、トヨタ自動車のグループの豊田自動織機が生産する自動車用のディーゼルエンジン3機種で、認証手続きに必要な出力試験の違反行為が見つかったということです。

これを受けてトヨタ自動車は、このエンジンの供給を受ける国内向けの6車種を含む合わせて10車種の自動車の出荷を停止することを決めました。

対象はランドクルーザー300や、ハイエース、ハイラックスなどが含まれています。

国内向けの6車種のうち4車種は国内の工場で生産していて、トヨタ自動車は、4つの工場の6つの生産ラインで29日夕方から2月1日まで生産を停止することを決めました。

4つの工場は、「トヨタ車体」の
▽愛知県刈谷市にある富士松工場、
▽三重県いなべ市にあるいなべ工場、
▽愛知県豊田市にある吉原工場、
「岐阜車体工業」の
▽岐阜県各務原市にある工場です。

また、「日野自動車」も、東京 羽村市にある羽村工場の生産ラインで同じ期間、停止するとしています。

トヨタ自動車のグループでは、子会社のダイハツ工業でも国の認証取得の不正問題で国内の自動車工場の稼働停止が続き、不正問題による車の出荷の停止が相次ぐ事態となっています。

トヨタは、「ダイハツに続き、豊田自動織機において不正行為が繰り返されてきたことは認証を行うメーカーとしての根本を揺るがす事態であると大変重く受け止めている」とコメントしています。

トヨタ 佐藤社長「再発防止に全力で取り組む」

トヨタ自動車の佐藤恒治社長は、都内で記者団に対し「トヨタの車をご愛顧いただいている皆様、トヨタブランドをご愛顧いただいているお客様に対しまして、多大なご迷惑、ご不安を与えてしまっておりますことを心よりおわび申し上げたいと思います。大変申し訳ございません」と述べ、陳謝しました。

そのうえで「不正が起きたことを大変重く受け止め、調査委員会の報告書を拝読し、真因の理解を深めて再発防止に全力で取り組んでまいりたい」と述べました。

またディーゼルエンジンの開発を委託しているトヨタ自動車と豊田自動織機の関係について「技術をスムーズに移転していくためのコミュニケーションや業務のやり取りがあるが、過剰に行われすぎると、自立的に理解して考え、行動することを阻害する要因にもなるので、丁寧なコミュニケーションが必要だ」と述べました。

また、グループ内で不正問題が相次いでいることについて「共通するのは、組織的な手当てによるけん制の力が効かずに不正に走ってしまった背景があることで、組織上の課題に手が打てていなかった。技術の高度化が非常に早く、業務量が高まっている中で、負荷が高まるとバランスを崩してしまうことがある。立ち止まってしっかり反省し、問題に向き合っていかなければならない」と述べました。

豊田自動織機 伊藤社長「重大に受け止め深く反省」

豊田自動織機の伊藤浩一社長は会見の冒頭で「基本として順守すべき認証制度の重みに鑑み、この内容を極めて重大に受け止め、深く反省いたしております。お客様、販売店、仕入れ先、ならびに監督官庁をはじめ、多くの関係者の皆様に多大なご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした」と陳謝しました。

また、エンジン開発を委託されたトヨタ自動車との関係について「トヨタ自動車とのコミュニケーションが不足しており、試験のプロセスで守るべき手順などのすり合わせが十分に行われていなかった」と述べました。

そのうえで「今後、トヨタにいろいろ教えていただき協力してもらって、今までのような不正が起こらないようにしたい」と述べました。

特別調査委 井上委員長「コンプライアンス意識の欠如」

「豊田自動織機」はフォークリフトや建設機械用のエンジンの排出ガス性能の試験でデータの不正が明らかになり、外部の有識者でつくる特別調査委員会を設置して調査を進めてきました。

その結果、新たにトヨタ自動車から開発を受託している自動車用エンジン3種類でも、出力試験で燃料の噴射量を調整し、見栄えのよいデータにするなどの不正が見つかったとしています。また、すでに公表したものとは別のフォークリフトや建設機械用のエンジン7種類でも排ガス試験のデータの不正があったということです。

こうした不正を招いた原因について、特別調査委員会の報告書ではコンプライアンス意識の欠如や管理・監督意識の欠如などがあったと指摘しています。

特別調査委員会の井上宏委員長は、記者会見で「不正行為は長期間にわたり、多くのエンジンでさまざま認められた」と指摘しました。

そのうえで「開発スケジュールのプレッシャーのもとで不正行為に走った実際の担当者、あるいは、これを承認した管理職のコンプライアンス意識の欠如を指摘しないわけにはいかない」と述べました。

また井上委員長は、「エンジン事業部は長期間にわたってトヨタからの受託が中心となっていた。例えば法律で規制が変わったとしても主体的に変更するというよりは、トヨタからのスペックの変更を受けて対応していて、対外的なリスクをわがこととしてさばいていく経験が乏しかった」と指摘しました。

経団連 十倉会長「信頼揺らぐような不祥事 誠に残念」

経団連の十倉会長は記者会見で「ものづくりだけでなくサービス業も含めて日本企業の信用や信頼に関わる問題だ。日本企業は品質や丁寧さ、納期や法律を守るなど、そういうところも評価されてきたが、その信頼が揺らぐような不祥事が起こっていることは誠に残念だと思う」と述べました。

そのうえで十倉会長は、「コーポレートガバナンスを形式で終わらせず、実効性を担保する内部統制をしっかり行ってこういうことがないようにしてもらいたい」と述べ、企業統治を徹底し、再発防止に努めるべきだという考えを示しました。

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